朝日新聞 2014年6月11日
労働時間と関係なく成果で賃金を払う制度について、政府は、対象者を「年収1千万円以上」とすることで最終調整に入った。多くの働き手が「残業代ゼロ」で長時間労働を強いられる懸念が広がっていることに配慮したが、いったん制度が始まれば対象が広がる恐れもある。今月末にまとめる成長戦略に盛り込み、来年の通常国会での労働基準法改正を目指す。
甘利明・経済再生相が10日、政府の産業競争力会議後の会見で「誤解や不安を与えないため、明確に高い賃金水準を設ける」と述べ、対象者は業種を限定せず、年収1千万円以上の高年収者に絞り込むことで、田村憲久・厚生労働相と詰めの協議をしていることを明らかにした。
この制度をめぐっては、競争力会議の民間議員が4月、年収を問わず一般社員も対象とする案を提案。その後「幹部候補」に絞るとしていた。一方、厚労省は世界レベルの為替ディーラーなど高度専門職に対象を限る案を示し、調整が続いていた。今回、年収1千万円を下回る人は対象にしない方向になった。