ワタミグループ過労自殺訴訟が和解 会社側が責任認める

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朝日デジタル 2015年12月8日

 ワタミグループの居酒屋「和民」で起きた過労自殺の遺族が、ワタミや創業者で当時代表取締役だった渡辺美樹参院議員(自民党)らを訴えていた訴訟が8日、東京地裁で和解した。渡辺氏らは法的責任(安全配慮義務違反など)を認め謝罪し、1億3千万円超を連帯して支払う。若者を酷使する「ブラック企業」批判にさらされたワタミの責任を問う裁判は、今の働く場が抱える問題を浮き彫りにした。

 訴えていたのは、過労自殺で娘の森美菜さん(当時26)を失った父豪さん(67)と母祐子さん(61)。

 美菜さんは2008年4月、ワタミ子会社のワタミフードサービスに入社し、神奈川県横須賀市内の店に配属された。同年6月に社宅近くで自殺。月141時間の残業があったとして12年2月に労働災害に認定された。

 遺族は、渡辺氏の経営理念が過酷な長時間労働を強いるワタミの体制をつくったとして、渡辺氏個人の責任を追及。裁判で渡辺氏は「道義的責任はあるが、法的責任はない」と争う姿勢を示していた。和解で渡辺氏は「自らの経営理念が過重労働を強いた」「最も重大な損害賠償責任がある」と認めた。

 渡辺氏以外で個人の責任を認めたのは、当時のワタミ子会社代表取締役とワタミの人事部統括本部長。

 ワタミ側は、労働時間を正確に記録することなどの過重労働対策にも同意。これらの内容をワタミと渡辺氏のホームページに1年間掲載する。

 和解内容には、研修会への参加や課題リポート作成に必要だった時間を労働時間と認めて残業代を支払う▽給与から天引きしていた書籍代や服代を返金する――などの内容も盛り込まれた。

 美菜さんと同時期の新入社員にも、未払い残業代として1人につき2万4714円(08〜12年度入社、約800人分)、天引き分として1人につき2万4675円(08〜15年度入社、約1千人分)を支払う。

 遺族は、逸失利益などに過酷な労働を強いたことに対する約7千万円の「懲罰的慰謝料」を加えた約1億5300万円を求めていた。遺族代理人の玉木一成弁護士は「広範な過重労働対策を認めさせた。判決を得る以上の成果があった」と述べた。(編集委員・沢路毅彦

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