(1)私たちは、「生存権保障(憲法第25条)の確立をめざして、生活と健康・権利を守る運動をすすめ、福祉と教育の充実(略)社会保障制度の確立、および平和と民主主義に寄与することを目的」(大生連規約第2条)に、60年間、運動をしてきた市民団体です。
2013年2月14日、大阪市淀川区で生活保護を利用中の、「生活と健康を守る会」の男性会員が逮捕されました。新聞報道によると、逮捕の理由は2012年12月分の生活保護費14万円を不正に受給したというものです。この事件に関連して、同区「生活と健康を守る会」も家宅捜索を受けています。
(2)生活と健康を守る会は、「不正受給」は絶対に許さないという立場で、社会的道義に基づいて運動をしています。もちろん、一部で報道されたような、逮捕された男性に対し、不正受給を教示したことはありません。今回、逮捕された男性の「不正受給」容疑に関しては、「生活と健康を守る会」にとって寝耳に水のことであり、今後の捜査の進展を待って対応をしていく所存です。
(3)「生活と健康を守る会」事務所の家宅捜索は、報道によれば約10カ所もの家宅捜索先の1つとのことです。「生活と健康を守る会」のメンバーが男性の申請に同行しましたが、そもそも申請同行は違法なことではありません。生存権保障のための大切な権利です。
こうした基本的人権の観点から大阪府、大阪市では申請同行を認めています。大阪府健康福祉部社会援護課では、2007年3月23日に「相談者本人が第三者同席を求める意思を示したときは、これを確認の上、第三者同席による相談を行って下さい」(社援第3626号)という通知文書を各福祉事務所に出しています。
日本の生活保護の捕捉率(要保護世帯のうちどれだけ捕捉したかの比率)は15.3%〜18.0%(あけび書房『生活保護「改革」ここが焦点だ!』101ページ)という低い数値です。本来、誰でもできるはずの申請ができていないことがこの捕捉率を低くしている大きな要因になっています。以上のことからも、私たちは、本人が求めた場合の同行は申請者の権利を守る大切な行為として位置づけています。
(4)現在、政府は生活保護基準の引き下げを実施しようとしています。引き下げは生活保護の問題にとどまりません。最低賃金、就学援助や各種減免基準、住民税非課税限度額などに影響し、日本のナショナルミニマムの底が抜けてしまいます。私たちはこうした改悪を許さないために、生存権保障の確立をめざし、地域住民の方々と手を携えて運動を進めていく決意です。
2013年2月15日
淀川生活と健康を守る会
全大阪生活と健康を守る会連合会(大生連)