第72回 アリさんの働きぶりにびっくりしました

2日前に転居したばかりで家の中はまだごった返しています。荷物の運送と積み下ろしはアリさんマークの引っ越し社にお願いしました。今日は整理の合間にアリさんの働き方について書きます。

アリさんチームの4人は朝8時前に到着するや、さっと室内の荷造りの状況を見て、廃棄する家具に緑のテープを貼ったあと、道路から家の上がり口まで毛布や薄い布団を敷き詰め、その上を裸足で走り、階段もトットットと勢いよく駆け上がります。そして、今度は荷物を抱えてドドドと駆け下りて一気にトラックまで運びます。裸足で走るのは靴を脱いだり履いたりする時間を節約するためです。

事前に渡された所定の2種類の段ボール箱には、隙間なくぎっしり詰めるように言われていたので、本なら一箱20キロ前後は入っています。私が詰めた本の箱は自分では一箱でも重すぎて数メートル以上は運べないのに、アリさんたちはなんと一度に2箱も抱えて、しかも走って運ぶのです。

引っ越し先への荷物の搬入もたいへんです。私は書斎(というより書庫)に本を運び込むときに置き場の指示をしましたが、室内の箱の整列と積み上げを担当しているアリさんが少しでも滞貨を作ると、外から箱を運んでくるアリさんから、「何をもたもたしているんだ」という叱責が飛びます。正確に測ったわけではありませんが、約60箱の私の本を運ぶ込むのに30分程度しか要しませんでした。一箱30秒というスピードです。

アリさんについては「這う」というイメージを抱いてきましたが、人間の働きアリさんは「走る」のです。またアリさんは「弱い」というイメージを持ってきましたが、アリさんはとても「力持ち」です。

翌日、同じ系列のピアノ運送専門のアリさんが二人来ました。二人は250キロはあるピアノを室内にゆうゆうと担ぎ入れました。ピアノ専門のアリさんたちは文字通り怪力の持ち主なのです。

ネットで調べると、アリさんバイトの時給は1100円から1500円と出ています。仕事がハードな割には低すぎる気がします。私は体力がなくなったいまはもちろん、元気な学生時代でも、こういうバイトは、たとえしたくても、きつすぎて1時間と続かないように思います。世の中、アルバイトでも、働くということはほんとうに楽ではありません。つくづくそう思った引っ越しでした。

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