会計年度任用職員制度 4月スタート 処遇や雇用の確保をぜひ (2/17)

会計年度任用職員制度 4月スタート 処遇や雇用の確保をぜひ
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連合通信 2020/02/17

 64万人以上といわれる自治体の非正規職員。その大半を移行させる会計年度任用職員制度が4月にスタートしますが、処遇改悪が後を絶たず、雇用不安も解消されていません。実態はどうなっているのでしょうか。

処遇改悪/賃金や労働時間の削減も
新たに一時金(期末手当)を支給する一方で、月例賃金を減らす自治体が相次いでいます。総務省はこうしたやり方を「(地方公務員法など)改正法の趣旨に沿わない」(昨年12月20日付通知)と戒めましたが、流れは続いています。
NPOへの相談では「月額7万円もの削減。(一時金が出る)7月までの家賃が払えなくなる」と切実な訴えがありました。明らかな不利益変更でしょう。
退職金をはじめ、正職員との均等・均衡待遇が必要なフルタイムの会計年度任用職員にしないため、労働時間を正職員より若干短く設定するという脱法行為も少なくありません。
処遇改善という法改正の目的は無視されています。

雇用不安/上限設定や公募制導入
安心して仕事に専念するためには、賃金だけでなく雇用確保も大切です。ところが会計年度任用職員への移行に当たり「雇用上限制」「公募制」などを導入する動きが目立ちます。
雇用上限は、3年や5年働いたら雇い止めにする仕組み。1年契約を更新できる回数に上限を設けようというのです。つまり「短期間働かせて使い捨て」。雇用不安を与えるやり方で、優秀な人材を確保できるはずがないでしょう。
公募制は「期限切れ後も引き続き働きたかったら、一般求職者と一緒に応募しなさい」というもの。それまで公務職場で働き、身に付けたノウハウなどの蓄積をまともに評価する気がないということです。

民間委託/処遇と雇用をリセット
非正規職員の処遇と雇用を一気にリセットする、究極の手段が民間委託です。 新たな会計年度任用職員制度を設計する手間を省き、外部の民間企業・業者に業務を委ねようというもの。東京都足立区や静岡県島田市では、労働者派遣法違反などの問題点が指摘され、ストップがかかりました。しかし委託化の流れは止まっていません。
非正規職員が委託先企業に運よく雇用されたとしても、賃金が維持される保障はゼロ。雇用も不安定なままで、公共サービスの質が心配されています。
安倍政権は民間委託を積極的に推進しています。会計年度任用職員制度が始まる4月以降も、民間委託の動きには注意が必要です。

均等・均衡が基本/自治労方針(2020年1月・中央委員会決定)
法改正の趣旨を十分踏まえていない条例が多い。常勤職員との均等・均衡を基本として制度の改善が必要で、当事者の声を集めながら交渉・協議を行う。2020春闘期以降も継続して取り組む。労働条件全般について、会計年度任用職員制度の設計状況を含めた総点検も行う。

改正趣旨逸脱許さず/自治労連方針(2020年1月・中央委員会)
処遇改善という法改正の趣旨を逸脱する行為を許さず、賃金改善や雇用安定を追及しつつ不十分な点は施行後も継続課題とする。4月の移行に当たり「会計年度任用職員酷暑(仮称)」を作成し、総務省や自治体申し入れで活用。マスコミにも情報提供し、法改正した目的の実現を目指す。  

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