新型肺炎、非正規の収入直撃 労働相談深刻さ増す
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202003/0013165473.shtml
2020/3/4 15:00 神戸新聞NEXT
「無給で自宅待機するよう命じられた」「給料が減るので休みたくない」。新型コロナウイルスによる肺炎が拡大する中、出勤日数や労働時間の減少が収入を直撃するパート労働者ら非正規労働者から、不安の声や悲鳴が上がっている。2月14日から特別窓口を設けている兵庫労働局(神戸市中央区東川崎町1)にも相談が増えている。
「問題がこれ以上長引けば死活問題」とため息をつくのは、大阪府内の飲食業者で働く女性(42)=兵庫県尼崎市。昨年4月から契約社員として働き始めたが今年2月以降、訪日外国人客の減少で会社の売り上げは激減。上司からは「やってもらう仕事がない」と繰り返され、2月25日から自宅待機を命じられた。
自宅待機中の給料について明確な説明はなく、不安は募るばかり。1週間休むと収入が5万円近く減ってしまうといい、「国は時給で働く人のことも考えて、しっかり対策をとってほしい」と訴える。
非正規の添乗員として、兵庫県など関西一円のバスツアーを担当してきた大阪市の40代女性は「2月の収入はゼロに近い」と明かす。ツアーが激減し、ここ数年は連休もないほど多忙が続いたが一転、「他のアルバイトを見つけるしかない」と途方に暮れる。
IT関連企業で非正規として働く尼崎市の女性(43)は感染予防に力を入れる。「病気になり休めば、家計に響く。絶対にかかりたくない」。2月から満員電車を避けて早朝に出勤するようにし、小まめな手洗いなども欠かさない。
兵庫労働局によると、2月14日に特別相談窓口を開設し、同28日までに110件が寄せられた。日を追うごとに相談件数が増えているほか、「深刻な相談が目立ってきた」と担当者。「このままだと解雇されそう」といった相談もあるという。国の助成金に関する事業主からの問い合わせなども受け付けている。
新型コロナウイルスの影響による労働相談は、同労働局総合労働相談コーナーTEL078・367・0850(平日の午前9時〜午後5時)へ。(末永陽子)