民主労総 「コロナ19、こう対応しましょう! – 有給休暇、休業給付などQ&A」 (2/27)

9. 働いてコロナ19に感染すると、労災補償は受けられますか?

 働きながら次のようにコロナ19感染者との接触で業務上の病気にかかった場合、労災補償を受けることができます。
 ① 保健医療及び集団収容施設従事者で、診療などの業務遂行過程で感染者との接触により発症した場合
 ② 非保健医療従事者として空港・港湾の検疫官などのように感染危険が高い職業群に該当したり、業務遂行過程で感染者との接触が確認され、業務と疾病の間に相当な人と関係がある場合

 例えば、病院に勤務する看護師が来院した感染者と接触した後、コロナ19感染者と確認されたり、会社に勤務して同僚から感染すると業務上の疾病として認められます。 ただし、業務関連性についての具体的な判断は個別事件別に業務上疾病判定委員会の審議を経て確定します。

 参考までに勤労福祉公団が2020年2月11日に発表した<新種コロナウイルス感染症関連労災補償業務処理方案”で明らかにした業務上の疾病調査対象および業務上の疾病認定要件は以下のとおりです。

[非保健医療従事者の業務上の疾病調査対象]
 ①該当ウイルス感染源を検査する空港·港湾などの検疫官
 ②中国などの高危険国(地域)への海外出張者
 ③出張などの業務上の理由により、感染者と一緒に同飛行機に搭乗した者
 ④業務遂行過程で感染した同僚労働者との接触があった者
 ⑤その他の業務遂行過程で感染患者と接触した者
 ※ 現地法人勤務者の場合、労災適用可否を調査後、労災療養可否を判断

[業務上の疾病認定要件]
 上記の調査対象である勤労者として、下記のいずれにも該当すれば業務上の疾病認定可能
 ①業務活動の範囲とウイルスの伝染経路が一致すること
 ②業務遂行中にウイルスに感染しうる状況が認められること
 ③ウイルスに感染したと認められること
 ④家族や親戚など業務外の日常生活から伝染しなかったこと

10. 通勤中にコロナ19に感染すると、労災として認められますか?

○労災と認められることがあります。業務上の病気だけでなく、「通勤災害」も業務上の災害に該当します。
 産業災害補償保険法第37条第1項第3号は、「通勤災害」を①事業主が提供した交通手段やそれに準ずる交通手段を利用するなど事業主の支配管理下で通勤中に発生した事故、②その他に通常の経路と方法で通勤中に発生した事故と定義します。
○(通勤バスで通勤中に感染した場合)
 事業主が提供した交通手段を利用して通勤中に感染した場合は、当然労災補償を受けることができます。
○(公共交通機関で通勤中に感染した場合)
 通常の経路と方法でバス、地下鉄などの公共交通機関を利用し、通勤中に感染した場合も業務上の災害と認められることがあります。この場合①通常の経路と方法で出勤・退勤した事実、②出勤・退勤の過程で感染した事実を立証しなければなりません。感染経路の立証は保健当局の疫学調査などを最大限活用すべきでしょう。
 参考までに、政府は2020年2月25日、中央災難安全対策本部の定例ブリーフィングで、コロナ19の拡散を防ぐため、公共機関の車両2部制を一時中止し、自家用車を円滑に利用できるように措置しました。また、通勤時間の公共交通機関の中で人々が密着することを防ぐため、公務員・公共機関職員の通勤時間も調整することにしました。
 このような政府の措置は、公共交通機関を利用した通勤中の感染可能性を前提としたものであり、労災請求時に積極的に活用できます。

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