自治労連速報 2020年4月20日(月)より転載
医療現場の現状をふまえ、直ちに対応を!
大阪自治労連医療部会が大阪府に緊急要請
ギリギリの状態の医療現場
連日マスコミにも報道されていますが、いま公立・公的病院の医療現場では、新型コロナウイルスの感染者を受け入れ、日々、いつ感染してもおかしくない状況の中、奮闘されています。
もともと自治体病院では、日常でも人員が足りないギリギリの状態であり、厳しい状況がさらに深刻な事態を迎えています。+
大阪においても感染者が急増するもとで、自治体病院では陽性患者の受け入れが急速にすすめられています。しかし、国の医療施策により効率的な経営第一ですすめてきた結果、医師や看護師など医療従事者が減らされ、マスクなど医療資材が不足しています。さらに厳しい経営状況のもとで、長期化すればもともと懸念された「医療崩壊」が直前に迫っている状況です。
感染症患者の受け入れは、通常より多くのスタッフが必要で、日常と違う新たな体制業務もこなしています。現場は常に新型コロナ感染の危険を持ちながら、患者さんのいのちを守ろうと奮闘しています。
緊急要請書提出「防護具、人員の確保を」「定期的なPCR検査と安心できる補償体制を」
4月17日、医療部会は幹事会を開催し、職場の実態を集約し知事あて緊急要請書をまとめ、大阪府健康医療部へ提出しました。医療部会と本部から5人が出席しました。(要請内容は次頁)
参加者からは、「現場でマスクや防護服などが足りず、第一線で働く医師・看護師などが感染の危機を感じながら働いている」実態を訴え、できるだけ早い調達を訴えました。
また「今大阪府から新型コロナ対応病床の大幅確保の要請を受けているが、医師・看護師が足りない、一般病棟の患者の対応も困難になる」と、人員の緊急の確保と長期的な確保計画を求めました。
そして、「対応している医師・看護師等のPCR検査も定期的に実施してほしい」「自分が人にうつしているのではないか、家族にうつすのではないか、と不安をかかえながら仕事をしている」、さらに、「感染患者の看護をしている職員に防疫等作業手当など危険手当を国並みに、責任をもって支給してほしい、感染した場合の公務災害認定など補償をきちんとしてくれないと安心して働けない」と訴えました。
大阪府「要請内容を必ず関係部署へ伝えます」
対応した職員は、「マスクは、府民のみなさんの協力や国からも提供予定なので今月中には提供できる、アルコール消毒剤は、中身は確保できているがボトルの確保が難しい」と説明しました。
最後に「本日お聞きした要請内容を必ず関係部署に伝えます。」と述べました。
医療部会からは今後も状況に応じて、要請する旨を伝え終了しました。
2020年4月17日
大阪府知事
吉村 洋文 様
大阪自治体労働組合総連合
執行委員長 有田 洋明
医療部会長 古田 昭仁
住民のいのちを最優先に守るため、医療体制の抜本的強化を求める緊急要請
日頃より住民のいのちと安全を守るために行政運営をされていることに心より敬意を表します。
新型コロナウイルス感染の拡大は、大阪府など都市部を中心に急増するなかで、「いのち」を最優先にした医療体制の抜本的な対策が求められています。専門家からも、感染者増大で受け入れ体制がひっ迫し、「もはや機能しない」と強い警告が出されています。しかし、現行の脆弱な医療体制のもとで、感染者受け入れ病床数や医療従事者の確保、治療に必要な器材の調達、二次感染対策など十分な体制や財政支援がありません。まさに「医療崩壊」を招かない万全の医療体制と予算措置は待ったなしです。いま公立病院では、感染患者の受け入れ対応し、今後も感染拡大という事態を想定しながら、感染者ベッド確保や医療配置の対応に追われています。こうした緊急事態が長く続けば、「医療崩壊」という最悪の危険な事態が想定されます。
私たち大阪自治労連は、府域の自治体病院として、新型コロナウイルス感染の拡大という緊急時に十分機能を果たし、住民のいのちと健康を最優先にした医療体制の強化と十分な財政を確立した上で、万全な医療提供ができるよう以下のとおり緊急要請します。
記
1.「医療崩壊」を回避するため、医師や看護師の確保、健康を維持して働き続けられる労働条件など医療体制を抜本的に強化し、安心して新型コロナウイルス患者に対応できる院内環境を整えること。
2.院内感染を防ぐために、防護具(マスク・手袋・フェイスシールド・ガウン)や必要な医療機器などを十分に確保すること。防護服の代替品を使用する場合は安全性を十分確保し、責任をもって対応すること。
3.新型コロナウイルス感染患者を専門に治療する病棟、それ以外の一般患者に対応する病棟エリアを明確にするとともに、院内感染の防止と安全確保に十分に留意すること。
4.新型コロナウイルス感染患者に対応する医師・看護師等に国の防疫等作業手当の特例並みに支給すること。また、発熱外来等の看護師、患者受付担当者、応援対応看護師等も対象に拡大すること。
5.新型コロナウイルス感染患者に対応する医師・看護師等に定期的にPCR検査が受けられる体制をつくること。また、新型コロナウイルスに感染した場合は、公務災害認定等と十分補償すること。
6.新型コロナウイルス感染症対策の長期化が予測されており、緊急対応だけでなく長期的な医療体制を確立すること。また、感染防止対策による労働条件等の変更などを行なう場合は、労働組合に対して必要な情報提供と意見交換を行い、関係する医療スタッフに周知を図ること。