韓国で初めてオンラインを基盤に活動する「オンライン労組」が設立されました。新聞、TVなど、ほとんどの韓国メディアがこのオンライン労組設立を大きく報道しています。2024年11月3日、ソウル市内で「職場パワハラ119オンライン労組」発足式(韓国語の直訳では「出帆式」)が開かれ、当日、組合員(約150人)はオンラインで参加し、司会者と市民団体「職場パワハラ119」の中心的な活動家だけが出席しました。組合員は、Zoomを通じて出席し、ニックネームで会場のスクリーンに顔を出しました。(京郷新聞2024年11月4日、ハンギョレ2024年11月4日)
同労組は、発足式の直前(2024年10月31日)、政府・雇用労働部から「労組設立申告証」の交付を受けましたので、正式に「労働組合法上の労働組合」としての地位を認められて本格的に活動が可能となっています。7年前に、「職場パワハラ119」という市民団体が活動を開始しました。「職場パワハラ119」は、労組がない中小企業や非正規職(非正規労働者)を対象に相談やWebなど通じてのキャンペーンなどの活発な活動を行ってきましたが、早くから目標にしてきた「オンライン労組」設立が、7年間の経験と実績を基に実現したことになります。
今回は、韓国で初めての「オンライン労組」発足について、その設立までの背景・経緯と今後の課題について、現段階での関連情報を集めて、私なりにまとめてみました。
2024年11月27日 SWakita
注目を集める「オンライン労組」発足
「職場パワハラ119オンライン労組」は、動画(右)を通じて同労組を以下のように紹介しています。
2017年に活動を始めた職場パワハラ119が多くの成果をあげてきました。しかし、スタッフらの相談だけでパワハラ文化を変えるには限界がありました。(これが)職場パワハラ119がオンライン労組を始める理由です。
「ハラスメントやセクハラを受けたが他の病院に就職することができず、問題提起することすら難しい」(看護助手労働者の話)
「宗教・献金強要に問題提起したが、結局施設を辞め、業界を去りました」(元社会福祉労働者の話)
「15時間未満で契約し、労働基準法が保障する手当も、年次休暇もありません」(韓国人教員労働者の話)
5人未満の事業所の労働者も『フリー』でないフリーランスも一緒の労働組合を夢見ています。「オンラインカフェが組合事務所となり、簡単に加入し、匿名でいつでもどこでも活動することができます。会社ではなく、業種別使用者団体や政府を相手にキャンペーンや交渉を展開していきます。職場のパワハラ119が7年間準備したオンライン組合の組合員が増えれば、より大きな夢を見ることができます。オンライン労働組合というプラットフォームが、苦しい職場生活の拠り所となってお互いをつなぎ、社会を変えていきます。
オンライン労組に加入して下さい。ネイバー・カフェを訪問して下さい。 cafe.naver.com/119union
オンライン労組の特徴は誰でも匿名で加入できる。 組合費も月5千ウォン以上とし、敷居を下げた。勤労基準法上、勤労者ではない特殊雇用労働者(個人請負)やフリーランサーだけでなく退職者・求職者も加入できる。 労組活動はネイバーカフェを中心に主にオンラインで行われる。すでに病院・医院、IT、中小金融機関、保育園従事者と講師・トレーナーなどが加入した。現在、社会福祉支部・韓国語教員支部があり、組合員が30人以上集まれば追加で業種別支部を設立する予定である。(毎日労働News 2024.11.4)
「職場パワハラ119」の7年間の活動
「職場パワハラ119」の発足
今回のオンライン労組の母体となった「職場パワハラ119」は、労務士、弁護士、労働活動家ら約180人が集まって結成した市民団体です。職場内のパワハラ、セクハラ、不当解雇などで苦しんでいる労働者に無料相談を提供することが目的でした。とくに、労働組合が存在しない中小企業や非正規労働者、さらに自営業形式の労働者(特殊雇用、フリーランスなど)の場合、相談先がない場合が多いので、その要求に応えるための取り組みを行う組織として「職場パワハラ119」が結成されたのです。そして、7年を経過して、250人に達する多くのスタッフが活動を支えているということです。*
韓国では、日本と類似して上司・部下、先輩・後輩、正規・非正規をはじめ、年齢、学歴、性別など多くの差別・格差を生む事情があります。そのため、「ハラスメント」や「いじめ」に関連する多くの表現があります。ここでは、韓国語で괴롭힘を「ハラスメント」、갑질を「パワハラ」と日本語訳しています。
なお、韓国のハラスメントについては、イム・サンヒョク 「韓国の職場内ハラスメント現象と課題」(過労死防止学会誌第2号(2021年度))参照。この論文では、「職場パワハラ119」が実施した調査結果や、「職場パワハラ119」が制定に大きく寄与した「2019年職場内ハラスメント禁止法」についての説明があります。
職場パワハラ119の注目すべき取り組みと大きな成果
「職場パワハラ119オンライン労組」の委員長となったのは、労務士のパク・ソンウさんです。パク・ソンウさんは、職場パワハラ119の創立メンバーで、その運営委員とオンライン労組推進委員会の委員長を務めていました。昨年(2023年)には、職場パワハラ119の「夜勤パワハラ特別委員会」委員長を歴任し、政府の勤労時間改編関連対応をした。本業は民主労総ソウル本部労働法律支援センターのセンター長を務めています。(ntoday 2024.4.4)
「オンライン労組」のホームページに、パク・ソンウさんが、オンライン労組の紹介という文章を掲載しています。その紹介の中で、オンライン労組結成の背景・理由を示すために「職場パワハラ119」の過去7年間の活動を振り返っています。その主な内容は次の通りです。
(1) 職場パワハラ119は、「いわゆるろうそく革命で大統領弾劾も成し遂げた韓国の民主主義が、職場の門の前では止まった」という認識の下、職場問題を解決する労働者たちのオンラインミーティングを目指し、2017年11月に発足しました。発足と同時にカカオトーク〔=日本のLine類似の〕のオープンチャットルームを開設し、リアルタイムで相談と情報提供を受け、詳しい諮問が必要な場合は、電子メール相談を行うなど、主な活動空間をオンラインに置きました。その後、職場パワハラ119が提起した数件の職場パワハラ事件がメディアの大きな関心を受けました。したがって、職場パワハラ119は職場パワハラ(職場内ハラスメント)問題を社会的に議題化し、先導的に対応する団体として設立初期から多く知られるようになりました。
(2) 当初、職場パワハラ119を作った主な趣旨は、労働者にとって労働組合は必須であるにも関わらず、私たちの社会の絶対多数の労働者が労働組合に加入していない現実で、労働者ならば誰でもより簡単に加入および活動が可能なオンライン空間を活用してみようということ(オンラインプラットフォーム)構築)でした。体系の問題点と限界に注目し、業種別・職種別労働組合組織化を目標にしました。
(3) 発足初期から職種別・業種別オンライン会(ネイバーバンド)を作って運営し、このうち「翰林聖心病院会」は保健医療労組翰林大聖心病院支部として、「放送界パワハラ119」は希望連帯本部放送スタッフ支部の設立として結果を結びました。その他にも職場パワハラ119に受け付けられた事例と情報提供を既存労組に連職化につながった成果がありました。合わせてITパワハラ申告センター、コールセンターパワハラ申告センター設置・運営など主要職種(業種)を対象に組織化を念頭に置いた活動も行いました。
(4) 職場パワハラ119はオンライン労働相談という基本活動の他にもスタート初期から各種労働関連社会的議題を提起しイシュー化する行事を随時開催し、労働議題領域にわたる研究事業と報告書発行なども絶えず進行しました。
(5) 2019年職場内ハラスメント禁止法制定に大きな役割を果たし、以後法改正と雇用労働部規定および指針改善などを成し遂げ、関連各種マニュアル製作、会社員パワハラ指数開発などをすることにより職場内ハラスメント問題に対応する代表的な労働団体として位置づけられました。昨年(2023年)、政府のいわゆる労働改革に対応し、5つの特別委員会を設置し、その議題に積極的に集中する活動を行いました。特に「夜勤パワハラ特別委員会」が尹錫悦政府のいわゆる週69時間労働時間制度改悪に対抗する運動を主導し、労組法2・3条改正運動本部と協力した「元請けパワハラ特別委員会」の活動も「黄色い封筒法制定運動」の一助となりました。
(6) 国家人権委員会、雇用労働部などと定例協議(主要懸案議題または情報提供事業場に対する)改善活動)などとの社会的交渉も進め、京畿道など地方自治体、各種労働社会団体などとは政策協約を締結し地方政府などの労働政策にも影響を及ぼしています。
オンライン労組の構想
労働組合についてのアンケート調査
職場パワハラ119は、2024年2月、世論調査機関を通じて、職場労働者1000人を対象にアンケートを実施しました。
その結果、回答者の71.4%が「労働組合が必要だ」と回答しました。回答結果によると、労組が役に立つのは、「雇用安定」(89.4%)、「福利厚生改善」(88.4%)、「賃金引き上げ」(84.5%)、「職場内ハラスメントなど不当な待遇から労働者保護」(84.0%)でした。
また、労組に加入できなかった中小企業の会社員たちに「労組に加入しない理由(複数回答)」を尋ねると、「労働組合加入にともなう不利益の心配」が39.1%で最も高かった。続けて「既存労働組合活動に信頼がない」が34.4%、「組合費、集会参加などに対する負担」が31.9%、「労働組合加入の敷居が高くて」が19.9%、「職場をよく移る」が19.5%などの回答がありました。
大型事業場を中心に組織している二大労総(民主労総・韓国労総)に対する失望も少なくありませんでした。「二大労総が労組外労働者の問題を解決するために努力していると考えるか」に対して会社員57.3%が「そうではない」と答えた。83.2%は「労組が非正規職・労組外労働者のために関心を傾けなければならない」に賛成しました。
オンライン労組 設立の意義と特徴
毎日労働News(2024.11.18)のコラム「職場で働く人が頼りにする『オンライン労組』」」で、オンライン労組発足の意味について次のように書いています。
「労組がない大多数の事業体の現実は事実上無法地帯に封建王国である。労働法を職場内で強制し具現する装置は労組だけだ。ところが韓国の労組加入率は13.1%で経済協力開発機構(OECD)最下位圏である。詳しく見てみれば公共部門は70%、300人以上の事業体は40%水準である反面、100人未満は約1%、30人未満はせいぜい0.1%で事実上無労組状態である。わずか10%強の労組加入率さえ公共部門と大企業に集中している。
これには韓国特有の企業別労組体系も一役買っている。民主労総組合員の大多数が今は超企業別労組(産別労組)所属だとは言うが、実状は企業別支部が企業別労組のように運営されている。そのため、まず会社内で一定数を糾合できなければ、労組を作ったり加入することも難しい。このように作られた企業別労組は、会社の垣根を越えることができず、残念ながら社内福祉に関心と活動が集まっている。」と指摘します。
パク・ソンウさんが指摘するように、韓国では2000年代初めに激しい論議を経て、企業別から産業別に組織転換することが決定され、実際に産別転換が進みました。しかし、20年以上を経てもなお企業別の枠を乗り越えていない問題点を端的にし、これが「オンライン労組」結成への大きな動機になっていることを表明しています。
さらに、「労組は本来、会社の外にあるべき組織である。・・・産業別労組が産業別使用者団体と産業別団体協約を締結し、その団体協約が社会の労働規範として機能するのが西欧の姿だ。これが可能であってこそ労働市場の両極化問題も解消できる。労組を会社内に閉じ込めておく法制度を先に変えずにいわゆる労働弱者支援をすることは詐欺である。」 こうした問題意識から「職場パワハラ119」結成、さらに「オンライン労組」 を目指した動機であったことが分かります。
そして、「労組外労働者の要求と利害関係を主に代弁してきた職場パワハラ119は、7年の成果を基盤に今月3日オンライン労組をスタートさせた」とし、「オンライン労組」の主な特徴を次のように述べています。
・ ネイバーカフェ(cafe.naver.com/119union) などオンラインを基盤に運営する職種別・業種別労組です
・ 職場で働く労働者ならば誰もが『すべての労働者の労働権を尊重し支持し、労働3権争取のために共に努力する』という約束一つで加入可能で匿名でも活動できます
・ 組合費はコーヒー一杯の値段である最小月5千ウォンで、加入の敷居も下げました
・ 早くて専門的な労働相談は基本であり、各種労働情報を提供します。
・ 一緒に労働問題を悩み、労働権について語ります
・ 労働者にとって選択ではなく必須である労働組合のオンラインポータル、そして、プラットフォームを指向します。
・ オンライン活動ばかりではなく、通りや広場でも会いましょう
研究者との共同による調査・理論化
以上のように「オンライン労組」が設立され、活動を始めましたが、その前に研究者と共同しての調査・研究が行われたことにも注目することができます。
その研究成果は、ソウル科学技術大学のチョン・フンジュン助教授の「オンライン労働組合は、可能か? 労働プラットフォーム職場パワハラ119の事例」(産業労働研究28巻1号、2022年)として発表されています。この論文は、職場パワハラ119の活動を詳細かつ的確に示す、きわめてすぐれた論考です。
この研究論文は、38頁に及ぶ詳細なもので、その構成は、以下の通りです。
Ⅰ.序論、
Ⅱ.理論的背景と先行研究、1.労働者の利害代弁と組織化のための資源の管理、2.政治的機会を活用した組織化、3. 職場民主主義と新しい労使関係の行為者、4. 労働プラットフォームとオンライン労働組合、
III.オンライン労働プラットフォーム職場パワハラ119の事例 1. 研究方法 2. 研究方法 3. 職場パワハラ119の主な活動 1) オープンチャットルーム活動、2) 言論活動と陳情提起、3) 職種別の会合と労働組合の組織化支援、4. 事例分析の結果 1) 相談を念頭に組織化するための統合的活動、2) 外部資源の活用、3) 議題に対する戦略的先取り、4) オンライン労働組合への転換の可能性
Ⅳ. 結び
この研究では、理論的背景と先行研究に続いて、職場パワハラ119の活動について詳細な検討を行い、また、相談者との面接を含めて実際の事例分析を行っています。そこから職場パワハラ119の具体的な活動が明らかになっており、きわめて興味深い活動内容が描かれています。
例えば、社会福祉施設で働く労働者の事例が、次のように紹介されています。
「職場パワハラ119の有機的・統合的な活動は、創立を主導した活動家たちの問題意識に基づいている。面接調査などによると、職場パワハラ119を作った活動家たちの最終的な目的は、小規模事業場の散在する労働者を組織化することであった。小規模事業場の労働者は労働組合に接する機会が少なく、産別労組が小規模事業場の労組組織化を重要な課題としているが、実際に小規模事業場の労働者に会うことが難しいことに注目した。そこで、職場パワハラ119はオンライン労働プラットフォームで様々な職種の労働者を集め、同様の悩みを持つ小規模事業場の労働者を集め、労組組織化のための小集団ミーティングを推進した。小集団ミーティングは、Naverバンド(小集団)を活用した職種別の集まりを指すが、職場パワハラ119は小集団ミーティングを労働組合組織化のための事前的な集まりと定義して使用している。小集団ミーティングの代表的な事例が「社会福祉119」である。社会福祉士は全国の社会福祉施設などに勤務しているが、暴言、休暇の使用妨害、時間外勤務の強要など様々なパワハラに悩まされていた。そこで、職場パワハラ119は2019年10月、オンライン労働プラットフォームにアクセスして苦情を相談した社会福祉士を集め、社会福祉119という社会福祉士小集団を作った。このような集まりがきっかけとなり、公共運輸労組社会福祉支部が組織された。」(p.255~256)
そして、要約的に≪表3≫として、職場パワハラ119が1段階から3段階にわたって戦略的目標をもって活動してきたことをまとめています。現在は、この表に示された3段階目に達して、当初の目標であった「オンライン労組」の設立に至ったことが理解できます。
この論文では、最後に職場パワハラ119の事例の示唆点として、4点を指摘しています。
簡単に要約すると、
(1)オンライン労働プラットフォームが労働者の利害代弁と労働運動再活性化と関連して社会的資源になりうることを示していること、
(2)技術進歩は、資本だけでなく労働陣営も積極的に活用して新しい資源として戦略化しなければならない資源であることを示していること、
(3)職場パワハラ119の事例は、労働プラットフォームが労組組織化への仲介的役割を遂行すると同時にオンライン労働組合に対するビジョンを提示した点で意義を持つこと、
4) 労働組合運動の方向と示唆点を提供し、職場パワハラ119の革新的な活動は、既存の慣性的な労働組合運動に自己反省と共に変化の必要性を示していることです。
オンライン労組の意義と日本への示唆
このエッセイは、私としては、前回のエッセイ(第85回 すべての労働者を代表する労働組合、京都放送労組の取り組みに学ぶ)の続きで、12月3日のAsu-netの公開学習会のテーマと関連した内容です。
韓国では、企業が強く、政府は規制緩和を進め、労働組合は企業別組織などの制約があることなど、日本と多くの共通点があり、労働組合にとっては大きな困難、高い壁があります。しかし、労働組合は、そうした困難や壁を乗り越えようと努力して、非正規雇用を「労働者分断」と捉えて、労働組合の最優先課題に位置付け、企業別組合から産業別組合への転換を進めるという世界にも例のない注目すべき活動を続けてきました。
しかし、2017年の「ろうそく革命」を見たとき、韓国の新たな世代が示した政治的民主主義は、私にとっては驚くべきことでした。しかし、意識ある韓国の労働活動家や労働専門家は冷静に新自由主義による「ひび割れた職場」、企業間格差の拡大、さらに、インターネットなどの技術進歩にともなう新たな壁を粘り強く乗り越えようと努力していたのです。「民主主義は職場に及んでいない」「多くの労働者は職場で依然として苦しんでいる」という強い問題意識から、戦略的な展望のもとで「職場パワハラ119」を結成したことを改めて知りました。
つまり、「オンライン労組」は、新たな組織化の「手段」というだけではないのです。「すべての労働者を代表する労働組合」であろうとする目標を貫いて、現実に適用しようとする深い思想にもとづいた積極的な取り組みです。韓国でよく使われる「死角地帯」という言葉があります。まさに「労働組合の死角地帯の解消」がオンライン労組につながる基本的な問題意識です。言い換えれば、 「労働組合は『選択』でなく、必ずなければならない『必須』のものであるという「思想」です。
この「思想」は、韓国にきわめて類似した労働環境にある日本にも、否、日本にこそ必要だと思います。京都放送労組が、職場で働く労働者すべてを代表しようとする「思想」をもっているのと共通して、韓国の労働組合運動は一つの職場だけでなく、すべての職場で働くすべての労働者の困難や悩みに寄り添い、さらにすべての職場に労働組合を広げようとする強い「思想」を持っているのだと思います。
私は、現在、急増する「スキマバイト」問題について労働法、労働組合の視点から色々と考えています。個々分断されたスキマバイト労働者、非正規労働者、自営業形式の労働者たちの悩みに応えるためには韓国の「オンライン労組」は有力な組織形態ではないかと思うようになりました。
また、チョン・フンジュンさんの論文を読んで、「オンライン労組」は、韓国だけのものではないことを知りました。同論文には、「英国労働組合(Trade Union Congress)も、労働組合の組合員が減少する状況で仮想のオンライン労働組合が労組組織化に寄与できると判断し、オンライン労働組合の活動により多くの活動家と資源を増やしている」と指摘されていました。世界のオンライン労働組合の動向を調べようと思っています。