サマータイムは健康損なう 睡眠学会が反対の声明

2008年06月05日 共同通信配信

日本睡眠学会は5日、地球温暖化対策などとして超党派の議員連盟が導入に向けた法案提出を検討中の「サマータイム制度」について、健康に悪影響を及ぼす恐れがあるとして反対する声明を発表した。

声明は、夏季に時計の針を一時間進めるこの制度は、必ずしも省エネにつながらず、医療費の増加など経済的損失をもたらすと指摘している。

環境省で同日、記者会見した同学会の本間研一副理事長(北海道大教授)によると、夏時間への変更後数日から二週間程度は、睡眠時間の短縮や、眠りが浅くなるなどの睡眠の質の低下、抑うつ気分や自殺増加などが起こる恐れがある。特に西日本を中心に暑さが残る時間帯に就寝時間を迎えるため、寝付けずに睡眠時間の短縮などを招く可能性が高いという。

睡眠障害は、うつ病やメタボリック症候群などの要因となるほか、現在でも医療費増加や作業能率の低下などで国内で年間約3兆5千億円の経済損失が生じているとの試算もある。本間副理事長は「制度導入で1200億円の経済的な損失が新たに生じる可能性がある」と話した。

米国の州では制度導入後、冷房使用の増加などで電気消費量が増えたとの報告もあるという。

 

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