判例蓄積 予防も前進 過労死110番20周年でシンポ(2008/06/12)

過労死弁護団全国連絡会議や医師らでつくる「過労死110番全国ネット」は11日、過労死の労災補償認定の相談運動「過労死110番」の20周年を記念して東京都内でシンポジウムを開きました。145人が参加しました。

「運動が前進してきた原動力は、被災者や遺族が先頭に立ってたたかい、積極的な判例を積み上げてきたことにある」。岡村親宜弁護士は、過労死を労災認定させ、政府に予防指針を出させてきたことにふれ、20年の運動に確信を持って新たな運動へ踏み出そうと呼びかけました。

関西大学の森岡孝二教授は国際競争やIT(情報通信技術)化などをテコにした新たな労働強化は問題であり、過労死予防の運動がますます重要だと強調。中京大学の猿田正機教授は、業務外とされていたトヨタ自動車のQC活動を業務と認定した内野健一さん過労死事件の名古屋地裁判決は、他の企業にも影響を与える大きな成果だ」と述べました。

過労死問題に取り組む2名の医師が発言しました。上畑鉄之丞氏は、過労死110番を通じて過重労働と疾患との関係の研究が進み、労働行政をも動かしてきたことにふれ、「過労死認定を勝ち取るたたかいが予防につながる」と強調。新宮正氏は、睡眠や休養の不足が血管や脳、心臓などの障害をもたらすことにふれ、過労死予防のためには、労働者の「生活習慣」ではなく労働環境の改善が必要だと述べました。(しんぶん赤旗)

6月14日(土) 全国一斉に過労死110番を実施
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