中西 基弁護士より 読売新聞に意見投稿の呼びかけ

読売新聞社説「日雇い派遣 規制強化の前に冷静な論議を」> http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080707-OYT1T01010.htmが増田弁護士が流され、河村学弁護士から、「読売の主張に代表される俗論(派遣労働は使用者のためばかりでなく労働者も望んでいるなどという俗論)に対する理論的な批判、派遣制度そのものが持つ問題性からの批判が今は特に重要」との問題提起が、派遣研究会のMLにありました。この問題提起を受けて、読売新聞のホームページから、下記の意見を投稿しました。皆さんも、ぜひ批判の声を、届けてはいかがでしょうか?
読売新聞への意見投稿は下記URLから可能です。http://info.yomiuri.co.jp/contact/

参考までに私が投稿した意見。
「7月8日付社説について」
『日雇い派遣 規制強化の前に冷静な論議を』と題する7月8日付の社説は、派遣労働という働かされ方について、まったく誤った認識に基づくものであり、規制緩和を推進する財界や人材派遣業界の利益にすり寄った、天下の読売新聞たるものとして、まったく情けない意見というほかない。派遣労働という働かされ方が、いかなる意味において、労働者にとってプラスになるというのか。社説には、「学生や主婦には、時間に余裕があるときに仕事ができる便利さ」があると記載されているが、320万人を突破したとされる派遣労働者のうち、時間の余裕があるときにちょこっと仕事をしている学生や主婦がどれだけ含まれているというのだろうか。派遣労働(特に、日雇派遣労働)という働かせ方・働かされ方が、労働者にとって経済的に不利(規制なきマージン等)であるのみならず、人格ある人間として扱われるのではなく、あたかも機械の歯車のように企業の繁忙という都合によってのみ使い捨てられ、ひいては人間としての尊厳や夢や希望すらをも奪い去ってしまうものであることは、秋葉原事件を引き合いに出すまでもなく、もはや自明となっている
というべきであろう。いま、ようやく、「失われた10年」(それは「デフレ不況」という意味ではなく、労働者にとって夢や希望が奪われた「ロストジェネレーション」という意味)を反省し、派遣という働かせ方を見直そうという動きが政府や各政党の中で起きつつある状況のなか、それに「冷静な論議を」などと水を差すことが、いったい誰のためになるのか?国民をモノ扱いして金儲けにひた走ってきた財界や人材派遣業界のため以外のなにものでもなかろう。

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