最低賃金改正

 しんぶん赤旗9月5日の報道です。

各地の答申によると、東京の時給は30円上がって821円、神奈川は29円上がって818円と、2都県で800円を上回りました。答申が出た42都道府県すべてで、引き上げ額は2けたとなりました。

 しかし、もっとも時給が低い鹿児島や高知など5県では、政府が早期に実現するとしている800円まで158円も離れており、11円から13円という現在の引き上げペースでは、800円を上回るのに十数年かかります。最賃の地域間格差は、09年度の162円から179円に拡大しています。

 都道府県の審議会は、中央最低賃金審議会が示す改定額の目安を参考に審議することになっています。37府県は、目安よりも1〜6円上回る引き上げ額を答申。神奈川県だけが目安を1円下回りました。

 07年に改正された最低賃金法は、「生活保護との整合性に配慮する」としています。厚生労働省の調査によると、北海道、青森、秋田、宮城、埼玉、東京、千葉、神奈川、大阪、京都、兵庫、広島の12都道府県で、最賃が生活保護を下回る逆転現象が起きていました。

 今回の目安では、青森、秋田、埼玉、千葉の4県以外は逆転現象の解消が先送りされる予定となっていましたが、大阪、京都、兵庫でも解消する答申が出されています。

 審議会は、労働者、経営者、公益(学者や法律家など)の3者の代表で構成。6月に政府と経済・労働界が雇用戦略対話で、全国最低800円、平均1000円の早期実現を合意したにもかかわらず、多くの地方で経営者代表が最賃の引き上げに抵抗し、労働者と公益代表による賛成多数で答申を出しています。

 全労連と加盟地方組織などがこの間、首都圏、東北、静岡などで実施した「最低生計費」調査では、労働者がフルタイムで働いて最低限の生活をするには、都市部や地方に関係なく時給1300円台が必要だ、という結果が出ています。全労連は、すみやかに全国一律で時給1000円以上に引き上げることを要求し、審議会答申への異議申し立てを行うなど、運動を続けています。

 

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