元慰安婦:橋下氏と面会予定の吉さん、「暴言」と批判

 毎日新聞 2013年05月18日

 旧日本軍の従軍慰安婦だった韓国人女性、吉元玉(キル・ウォノク)さん(84)が18日、広島県福山市の集会で講演し、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が従軍慰安婦制度を「当時は必要だった」と述べたことについて、「過去の過ちを認めて謝罪できないまでも、暴言を吐いてはいけない」と批判した。

 市民団体「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」の招待で来日した。吉さんは日本の植民地だった朝鮮で生まれ、11歳だった1940年から旧日本軍の慰安所で兵士の相手をさせられたという。終戦後に解放されたが、南北分断で北朝鮮になった故郷には戻れないまま、韓国で暮らしている。99年に韓国政府に慰安婦だったことを申告。以来、国内外で自身の経験を証言する活動を行っている。

 この日、集まった市民約50人を前に、吉さんは橋下氏の一連の発言について「被害に遭った人間はまだ生きているのに、ひどい言葉を言われ、聞くに堪えない。過ちはきちんと謝罪すべきなのに、逆に人の心をこんなにも痛くさせている」と話した。さらに「暴言に腹が立つ思いもあるが、それ以上に、若い人に慰安婦の事実を知ってもらい、私たちのような経験をする人がもう生まれない平和な世の中を作っていってほしい」と訴えた。

 吉さんは、元慰安婦の金福童(キムポットン)さん(87)とともに、広島市で19日、岡山市で23日にある証言集会で話をし、24日に大阪市役所で橋下氏に面会する予定。【菅沼舞】

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