NHKニュース 2013年11月22日 13時38分
過労死や過労自殺が起きて昨年度、全国の労働基準監督署が調査に入った事業所のうち、64%で残業についての法律違反があったほか、月80時間の「過労死ライン」を超える残業を可能とする労使協定も少なくないことが分かりました。
労働基準法では労使の間で協定を結んで労働基準監督署に届け出ることで月に45時間まで残業させることが可能になりますが、繁忙期や突発的な事情がある場合は例外として残業時間を延長できることになっています。
NHKが全国の労働基準監督署に情報公開請求したところ、過労死や過労自殺が起きて昨年度、調査が行われた399の事業所のうち64%に当たる255か所で残業についての法律違反があったことが分かりました。
協定を結ばないまま残業させていた事業所が90か所協定の時間を超えて働かせていた事業所が165か所に上りました。
また、公開された資料から協定の具体的な内容が分かった事業所のうち、36%に当たる48か所で、月80時間を超える残業が可能となっていました。
これは違法ではありませんが、月平均80時間を超える残業は、疲労が蓄積して脳や心臓に負担がかかるとして国が労災認定の基準としていて、「過労死ライン」と呼ばれています。
労働法が専門で大阪市立大学名誉教授の西谷敏さんは「残業はあくまでも例外であって、異常な長時間労働を防ぐためにルールをもっと明確にすべきだ。ヨーロッパのように最低11時間のインターバルを設けて働くような新たな規制が必要ではないか」と話しています。