10年度の最低賃金、全国平均15円引き上げ728円に
2010年8月5日11時43分
最低賃金を審議する会場前で大幅引き上げを求める労働組合=東京都新宿区 |
厚生労働省の中央最低賃金審議会小委員会は5日、2010年度の最低賃金(時間額)の引き上げ目安を、全国平均で15円にすると決めた。6日の同審議会で正式決定する。47都道府県の最低賃金がこの目安通りの水準で引き上げられれば、最低賃金の全国平均は現在の713円から728円となる。15円の引き上げは08年度と並び過去最高水準。ただし、政府の新成長戦略が掲げる、早期にどの都道府県も800円以上、2020年までに全国平均1千円にするとの目標とは、なお隔たりがある。
最低賃金は、会社など使用者が労働者に支払わなければならない賃金額の最下限値。審議会が決めた目安をもとに47都道府県ごとに定められる。違反した使用者には罰金が科せられる。
小委員会は、47都道府県をA〜Dの4ランクに分けて目安を示している。生活保護の給付水準よりも最低賃金が低い「逆転現象」がある12都道府県については、逆転解消のための引き上げ目安は別に示される。これを考慮に入れた各ランクの目安は、東京や大阪など大都市中心のAの平均が22円、埼玉や京都、広島などのBの平均が11円、北海道や新潟、福岡などのCと青森や宮崎などのDの平均がそれぞれ10円。
今後、各都道府県の地方審議会がこの目安をもとに最低賃金の改定額を決め、9月上旬ごろにそれぞれ公示。10月の発効を目指す。
審議の焦点は、民主党が昨年の総選挙時のマニフェストで掲げた「全国最低800円」を達成できる水準を公約後初となる今回の決定で示せるか否かだった。
小委員会で労働側は、6月の労使代表による雇用戦略対話でも「できる限り早期に全国最低800円を確保」と合意したことから、大幅な引き上げを主張した。一方、使用者側は慎重姿勢を崩さず、このため小委員会は6回まで開催される異例の展開となった。(横田千里)