横浜市が平成22年の国勢調査を基に、15歳以上の市民の就労状況について分析したところ、男性は正社員、女性は非正社員の割合が大きい実態が明らかになった。職業別では、販売職や製造職で男女差が顕著だった。女性は年齢が上がるにつれて正社員の割合が急激に小さくなり、男性との差が広がる傾向にあった。
今回の国勢調査では、正社員と、派遣社員やパート、アルバイトなどの非正社員を初めて区別。横浜市の分析によると、市内に住む15歳以上の就業者は計約170万3千人で、うち男性は約101万6千人、女性は約68万8千人。
就労状況を男女別に見ると、男性が正社員67・2%、非正社員13・8%で大半が正社員だったのに対し、女性は正社員38・3%、非正社員48・7%で、半数近くを非正社員が占めた。
年齢別に見ても、男性は20歳から59歳までの各年代で正社員が半数を超えたのに対し、女性で正社員が半数を超えたのは20歳から34歳までで、年齢が上がるにつれて、正社員の割合は急激に小さくなって男性との差が広がった。
また、職種別でも事務職や専門・技術職をはじめ、分析に用いた11種類すべてのカテゴリーで、正社員の割合は男性の方が大きかった。特に販売職は男性が正社員73・9%、非正社員10・9%に対し、女性は正社員31・4%、非正社員58・9%で、男女差が顕著だった。市は「男性は正社員の営業職が、女性は非正社員の小売店の店員が多いようだ」と分析している。
一方、正社員の割合が大きい職種を見ると、男性の場合は事務職(86・1%)、警察官や民間警備員といった保安職(77・2%)の順番で、女性の場合は保安職(75・8%)、専門・技術職(60・1%)の順番だった。非正社員の割合は、男女ともに宅配をはじめとした配達や清掃職、飲食店員などのサービス職の順番に大きかった。
一般に非正社員の方が立場は不安定で賃金も安い。女性の非正社員が多い理由について、分析をまとめた横浜市統計情報課の石原孝課長は「女性の場合、子育てで仕事を辞めた後に、非正社員として再就職するケースが多いのだろう」と推測している。