2014年01月03日付け共同通信
共同通信社は2日、主要104社を対象としたアンケートをまとめた。2014年度の従業員の賃金を前年度比で「上げる」と回答したのは、全体の17%に当たる18社にとどまった。賃金全体を底上げするベースアップ(ベア)を明言したのはゼロだった。14年の景気は7社が「拡大」、67社が「緩やかに拡大」を見通し、合わせると74社(71%)に達した。
安倍政権は4月の消費税増税による景気の腰折れを回避するため経済界に賃上げを求めているが、多くの企業が慎重姿勢を崩していないことが鮮明となった。今春闘では連 合が5年ぶりのベア要求を決めており、厳しい労使交渉が予想される。
賃金を「横ばい」としたのは17社で、「下げる」も1社あった。ただ賃金体系の多 様化により、業績拡大などに連動して賃金が増える可能性がある企業も多かった。
景気の現状判断は101社が「拡大」基調にあると回答。14年の景気見通しは、現 状判断と比べると慎重派が多くなっている。消費税増税への警戒感が背景にあるとみら れる。今回の増税を「評価する」との回答は90社に上ったが、40社が「個人消費の落ち込みによる売上高の減少」に懸念を示した。
15年10月に消費税率を10%に上げるべきかどうかは、45社が経済情勢の改善がなくても実施すべきだとの認識を示した。「経済状況の改善が続けば引き上げ、現状 程度や悪化した場合は引き上げるべきではない」も25社あった。安倍晋三首相は14 年末に是非を判断するが、LIXIL(リクシル)グループなどが「財政出動などの対 策が必要だ」とし、景気を落ち込ませないよう一段の配慮を求めた。
望ましいと考える円相場の水準は1ドル=95〜105円に集中した。「一概に水準は言えないが、電気料金などのさらなる値上げがあれば、損益が圧迫される」(東芝)などと、円安が過度に進み原材料や燃料の輸入コストが高騰することへの不安もにじん だ。
アンケートは13年12月上旬から中旬に行った。