過労死対策 議員立法へ、連休明け超党派で動き本格化

神奈川新聞 2014.05.06

 過労死や過労自殺を防ぐための議員立法に向けた動きが、大型連休明けから国会で本格化する。超党派の国会議員連盟(議連)が今通常国会で成立を目指す法案は、過労死防止の重要性に対する国民の自覚を促すと強調、実態把握のための調査や報告義務などに関する規定を盛り込んだ。家族からは社会全体での過労死根絶への取り組みを願う声が上がっている。

 「仕事でたちゆかなくなりました。もうどうにも、できない感じです」

 スマートフォンに妻宛てのメモが残っていた。横浜市青葉区の男性が自ら死を選んだのは昨年3月。42歳だった。

 電機メーカーで新商品開発を担当。スケジュールの遅れが一人にのしかかり、一昨年の夏ごろから業務に忙殺されるようになった。

 家族に見せる表情から、笑顔が消えていった。残業は月80時間前後という日々が続いたという。心療内科で、業務によるうつ病と診断されていた。

 遺族が会社に「過労死」と認めるよう求めて起こした訴えが、横浜地裁で係争中だ。退けられた労災認定をめぐる申し立ても続く。

 「命より大切な息子だった。今も悔しい」。父親(76)は無念さをかみしめながら「苦しむ家族が二度と生まれないでほしい」と過労死の根絶を願う。

 神奈川労働局の集計によると、過労による精神障害などに対する労災補償の支給決定件数は、県内では2012年度で46件と過去最多。このうち自殺(未遂含む)の認定件数は4件となっている。ただ労災手続きで表面化するのは過労死の一部にすぎないとされ、実態把握を含めた法整備を訴える声が家族らから上がっていた。

 議連が成立を目指す「過労死等防止対策推進法案」は、11月を「防止啓発月間」に定め、過労死の概要や防止策の報告を毎年国会に提出するよう政府に義務化した。5月上旬をメドに各党で手続きを終える見通し。議連に参加する社民党の福島瑞穂副党首は「過労死が政治の重要な課題になる意義は大きい」と話す。

 過労防止への関心を高めることも課題となる。4月23日、国会内で超党派の国会議員や家族らが参加して開かれた議連の総会では、「国民の意識が変わらなければ、過労死問題の改善はない」との意見が出た。

 ◆過労死・過労自殺 過労やストレスなどが原因となり、くも膜下出血や心筋梗塞といった脳・心臓疾患を発症して死亡すること。うつ病などの精神疾患による自殺を過労自殺と呼ぶ。超党派の国会議員連盟が、防止策の大綱の制定や実態調査などを定めた防止推進法案の制定を目指している。議連所属の野党6党の議員が昨年末に先行して法案をまとめており、この内容を踏まえて自民党があらためて取りまとめた法案に一本化して今国会に提案する方針。

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