障害者向け公務員採用試験:受験資格に「自力通勤」条件も

毎日新聞 2014年05月16日 22時50分

 ◇中核市以上の7割で

 障害者向け公務員採用試験を巡り、都道府県と政令指定都市、中核市の7割が自力で通勤できることを受験資格としていたことが「障害者欠格条項をなくす会」(東京都)の調査で分かった。点字受験を認めた割合も4割強にとどまる。障害者の社会参加を支援する立場の自治体が門戸を狭めている実態が浮かんだ。

 調査は2013年度試験で▽47都道府県▽20政令市▽42中核市のうち、試験をしなかった那覇市を除く108自治体について、同会がホームページに掲載された受験資格などを確認した。

 それによると、「自力で通勤できる」「単独で通勤できる」などと明記していたのが36都府県9政令市34中核市だった。

 また、「介護者なしに職務遂行が可能」など、介助なしで仕事をこなすことも42都府県18政令市39中核市が求めていた。学校事務などを含む108自治体の計207試験全体でみると、自力通勤は148(71%)、介助なしの職務遂行は184(89%)で受験資格としていた。点字受験は207試験中91試験でしか認めていない。

 同会によると、207試験は身体障害者を対象としているものがほとんど。知的障害者向けは3試験、精神障害者向けは1試験しかなく、身体、知的、精神3種を対象としているのは3試験だけだった。臼井久実子事務局長は「差別解消に向け国が現場の指針作りを進めており、私たちの声を聞いてもらいたい」と話す。【野倉恵】

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