茨城新聞 2014年8月25日
中国人の技能実習生に対し残業代の未払いがあったとして、JAほこた(鉾田市)の組合員農家27戸が東京入管から5年間の実習生受け入れ停止処分を受けていたことが、24日までに分かった。処分を受けた農家で現在働く実習生四十数人も、実習先を変更しなければならないという。深刻な担い手不足を抱える地元農業は、外国人技能実習生の労働力なしでは成り立たないのが実情で、農業を基幹産業とする地元経済に影響が出そうだ。
関係者によると、東京入管から処分通知が届いたのは7月末。停止期間は昨年7月から向こう5年間。指摘された残業代の未払いは2011年前後の割増賃金分で、農家1戸当たり2万円〜300万円あったが、各戸は実習生を支援する労働組合の指摘や労働基準監督署の指導を受け、すでに支払っていた。対象の実習生も多くは帰国しているという。
しかし、入管の指針では、実習生に対する賃金未払いなどの不正行為は、是正後から5年間受け入れ停止とする処分規定がある。近年、全国で実習生への賃金不払いなどが絶えず、厳格に運用される傾向があるという。
未払いがあった実習生は、同JAが監理団体となり11年前後に受け入れた中国人で、組合員農家約70戸が実習先となっていた。同JAも東京入管から是正指導を受けている。
5年間の停止は、実習生を多く受け入れている農家ほど経営に大きな影響が及ぶのは必至だ。処分を受けた農家の男性は「彼ら(実習生)の代わりはなく死活問題だ。今後どうやっていけばいいのか」と困惑した様子。別の男性は「割り増し分が必要だと分かっていれば残業なんかさせなかった」と憤りを隠さず、同JAの対応にも不満を募らせている。
同JAの三保谷二郎組合長は「(割増賃金については)農家に説明していた。農協は要望があった農家にあっせんするだけで、実習生との問題は農家が自分たちの責任でやってほしいと指導している」と話した。(島田真太郎)