すき家: 拡大路線の見直し必至 6割で深夜営業休止

毎日新聞 2014年09月30日

すき家店舗営業状況

 「過酷労働」との指摘を受け深夜の1人勤務「ワンオペ」の解消を進めていたゼンショーホールディングス(HD)が30日、牛丼チェーン「すき家」の6割の店舗で深夜営業(午前0時から午前5時)を当面休止すると発表した。人手不足や人件費高騰でアルバイトが集まらなかったためだ。「24時間365日営業」と「低価格」を売り物に急成長してきた同社の拡大路線が見直しを迫られた格好だ。

 深夜営業の休止は全国で1167店舗。24時間営業を継続するのは589店舗、曜日によっては営業するのが87店舗になる。

 ゼンショーホールディングスは、傘下の事業会社ゼンショーの社名を10月1日付で「すき家本部」に変更し、すき家の経営再建に特化させる。ゼンショーが運営している焼き肉やうどんチェーンなどの事業は切り離し、グループの別会社が承継する。

 同社によると、東京都内では現在、最も時給の高い店舗のアルバイト店員の時給が昼間1200円、深夜1500円にはね上がり、過去最高水準。昼間はアルバイトの応募が前年と同水準まで回復したが、深夜については「製造業などと取り合いとなっている」という。今以上に時給を引き上げてアルバイトを確保しても、夜間営業の採算は合わなくなったのが営業休止の理由だ。

 すき家は低価格で客数を伸ばし、深夜のワンオペ営業などで経費を削減してきた。大手牛丼チェーンで最後発ながら、2008年に吉野家の店舗数を上回り首位に上り詰めた。だが今年に入ってから、手間のかかる鍋メニューの投入で店員らの仕事が増え、過酷労働などを敬遠して辞めるアルバイトが続出。最大で約250店舗が一時休業に追い込まれた。

 外部有識者で作る第三者委員会は7月、(1)ワンオペの解消(2)担当者の権限と責任の明確化(3)経営幹部が企業のあり方について議論し、全社員に公開−−などを提言。創業者でもあるゼンショーHDの小川賢太郎社長は「9月末までにワンオペ解消に取り組む」と宣言していた。

 低価格路線も修正は避けられない。すき家は今年4月、牛丼(並盛り)価格を280円から270円に値下げしたが、わずか5カ月後には291円に値上げした。牛肉などの原材料価格や人件費の上昇が理由だ。最近の円安で原材料費はさらに上昇する可能性があり、従来の収益モデルは壁につきあたっている。【神崎修一】

 ◇各社とも人手確保に躍起

この記事を書いた人