民主労総_[論評]日本が韓国を「ホワイトリスト」から除外したことに対する民主労総の立場 (8/2)

 [論評]日本が韓国を「ホワイトリスト」から除外したことに対する民主労総の立場

 2019.08.02 15:27:11
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 日本の安倍政権の輸出優待国名簿(いわゆるホワイトリスト)除外決定は
 韓・日両国の労働者すべてに苦痛を負わせて過去の戦争犯罪を否定する蛮行だ。
 日本の安倍政権が輸出優待国名簿(いわゆるホワイトリスト)から韓国を除くと決定したことは、韓・日両国の労働者すべてに苦痛を負わせる措置であり、過去の天人共怒〔訳注:天も人も皆怒る〕する犯罪を認定しないという反動的策動だ。
 これまで安倍政権は、持続的に戦争可能国家に転換しようとする野心を表わし、韓国に対しては強制動員賠償判決に対する報復措置まで取った。
 安倍政権の野心は、自国市民と労働者にも経済・社会的被害を及ぼす行動だ。
 日帝強制占領期間の侵略もまともに謝罪しないで、経済侵略で報復する日本に対して韓・日情報保護協定まで結んで軍事協力関係を持っていることはより一層容認され得ない。
 今でも満了までいくらも残っていない韓・日情報保護協定延長廃棄を通じて韓米日戦争同盟を打ち切って国家主権を回復しなければならない。
 最近、文在寅政府は、このような安倍政権の妄動が広がっている状況で裁量勤労の対象と範囲を拡大する案内書を発表したが、これは使用者に柔軟勤務制使用の使途を教える行為だ。
 日本の輸出規制措置を口実に、柔軟勤務制を拡大導入することは長時間・低賃金労働体制を維持する小細工に過ぎない。
 政治的状況を機会を利用して韓国労働者に苦痛を転嫁して責任を押し付ける労働政策を直ちに中断しなければならない。
 言い換えれば韓・日両国の対立は、両国労働者に災難のような被害を負わせるだけだ。
 民主労総は、このような帝国主義政策に断固と反対して、情勢を機会に利用して推進される、いかなる反労働改悪も粉砕する闘争を展開するだろう。
 
 2019.8.2
 全国民主労働組合総連盟
 

 【試訳・関連コメント(文責 脇田滋)】
 文在寅政権は、その公約「最低賃金の大幅引き上げ」については、たしかに1年目、2年目で約30%の引上げがありました。しかし、今年の決定(2020年最賃額)は僅か2.87%アップでした。これは最終の投票で「使用者委員案」が可決されたものです。昨年の引上げに対する小商工人の反発を利用する財界・保守マスコミなどの最賃引上げに反対する攻撃に屈して、文在寅政府・与党は最賃法を大幅に改悪しました。そして、最賃法改正によって、手当やボーナスも最賃算入範囲に含めることになったので、今年の2.87%引上げは、最賃法改悪とインフレで「実質的にはマイナス」になるというのが労働側の評価です。大統領は「任期内1万ウォン実現」の公約を守れなくなったと国民に謝罪しました。
 また、もう一つの公約である「労働時間短縮」も多くの猶予措置が導入され、さらに経営側の要望である「柔軟勤労制(弾力的勤労制)」を導入する動きを政府が進めています。これに対して、民主労総だけでなく、労働側は「労働法改悪」だと強く反発しています。柔軟勤労制(弾力的勤労制)は、日本の「変形労働時間制」に相当するもので、それを財界の要望に応じて改悪(期間を3ヵ月→6ヵ月または1年に延ばす)するものです。さらに、7月31日には、「裁量労働制」の対象業務を拡大し、企業のために「裁量労働制の活用マニュアル」を出しています。上記の民主労総の論評では、これを批判しています。
 とくに、今回の「日本政府の経済措置によって企業が大変になる」からという口実で、裁量労働制、さらには「高プロ」の導入まで含まれています。これは、昨年、私たちが強く反対したにもかかわらず、政権与党が強行可決した労働法改悪を、文在寅政権が、日韓対立のどさくさに〔訳注:上記の通り、「情勢の機会を利用して」〕財界の要望に応えて韓国にも導入しようとしているのです。なお、「過労死防止法制定」が労働側の要望ですが、政府(雇用労働部)は、これを無視して日本的な労働時間緩和策を導入しようとしており、この点でも経営側にすり寄っています。
 民主労総は、日本の安倍政権の措置を批判するとともに、その機会を利用して「労働法改悪」を進め、働く人の権利・利益に反する文在寅政権の動向をも批判しています。
 
 
【参考記事】

ノ・グァンピョ「逆走する労働尊重社会」https://hatarakikata.net/modules/column/details.php?bid=425

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