ギグ労働者は高スキルなのか? フリーランス市場の実態 (10/11)

ギグ労働者は高スキルなのか? フリーランス市場の実態
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191011-00030168-forbes-bus_all&p=2
Forbes 10/11(金) 16:30配信

Hero Images / Getty Images

ギグエコノミーはここ数年で、さかんにもてはやされるようになった。ギグエコノミー支持派は、自分が好きな時間に好きな方法で働くことができる自由と自律性のおかげで、ギグ労働者のエンゲージメント水準は高くなると主張している。

ペット関連のあらゆるサービスを集約するサイト「バベルバーク(BabelBark)」のロイ・スタイン最高経営責任者(CEO)は「ギグエコノミーは簡単に使えるプラットフォームを通し、高スキルのプロフェッショナルと人々を結ぶ素晴らしい機会を提供している」と語る。

「各種デジタルプラットフォームにより、獣医師やトレーナー、トリマーといった高スキル職業人は、ギグエコノミーブームの前にはおそらく得られなかった十分な数の顧客に手が届くようになる。また、自分やライフスタイルに応じた方法で働くことも可能になる。ギグエコノミーの時代では、低スキル労働者ではなく、技術により自動化・代替できないような高価値サービスの提供者のみが強化される」(スタイン)

しかし、反対派はギグエコノミーを奴隷労働になぞらえ、プラットフォーム所有者と労働者の間には不平等な力関係があると批判している。ギグ労働者は言われるがままに働き、正規雇用の従業員が享受する社会保障を何も得られないというのがその理由だ。

多くのものと同様、実態は大抵その中間にあり、ギグエコノミーをどう捉えるかはギグ労働者のスキル水準に対する各人の認識によって変わってくる。ギグワークにより人々は解放され、自立的に働けるようになると信じている人は、需要が高い能力を持つ高スキル労働者を想定しているのだろう。

一方で、ギグエコノミーに否定的な人は、スキルレベルが比較的低い宅配ドライバーやゼロ時間契約労働者を念頭に置いた上で、ギグワークの非人間的な側面を非難しているのだろう。

シンクタンク「自営業研究所(CRSE)」の新たな報告書では、後者よりも前者の方が現実にわずかに近いかもしれないことが示唆されている。同報告書は、英国に480万人いる自営業者の実態や仕事内容について分析したものだ。

報告書によると、ギグエコノミーの従事者は一般に思われているよりかなり少数派で、フリーランス労働者全体での割合は比較的小さい。最も大きな部分を占めるのは、報告書が「プロジェクトエコノミー」と呼ぶ仕事だ。これはプロジェクトベースで仕事を引き受ける高スキル労働者から構成され、その規模はギグワークの5倍に上るという。

プロジェクトエコノミーとは
プロジェクトエコノミーとは

報告書はプロジェクトエコノミーの定義について、高スキルのフリーランスが従事し、明確な終点がある仕事としている。プロジェクトは多くの場合、数週間から数カ月続く。これは、特定の顧客に対して繰り返し同じ業務を行うことが多いギグワークとは対照的だ。

プロジェクトエコノミーでは高いスキルが要求されるため、これに従事する人はギグエコノミーよりはるかに少ないと思うのは筋が通った考えかもしれない。しかし現実は全く異なる。報告書では、プロジェクトベースのフリーランサーはギグ労働者の5倍存在することが分かっている。プロジェクトエコノミーは、英経済全般をけん引しているのだ。

報告書は「標準職業分類(SOC)1〜3のフリーランサーが英経済に貢献する1400億〜1450億ポンド(約18兆〜19兆円)の経済産出量のうち、プロジェクトベースのフリーランサーは73%に相当する1040億ポンド(約14兆円)を占めている」一方で、「フリーランスのギグエコノミーが占めるのはわずか14%の200億ポンド(約2兆6000億円)で、残りはポートフォリオやその他のフリーランサーだ」と指摘している。

この規模は、プロジェクトベースの仕事をこなすフリーランサーの収入に反映されている。こうしたフリーランサーのうち210万人が、同等の従業員と比べて平均で倍の収入を稼いでいた。このフリーランス労働人口はマネジャーやディレクターなどから成り、フリーランス経済で最も生産的な一端を担っている。

経済をけん引

プロジェクトベース労働者の規模と性質は、こうした労働力が現代の知識ベースの経済をけん引する上で重要な役割を果たしていることを浮き彫りにしている。報告書では、企業が高スキルのフリーランサーたちを活用し、アジャイル(敏捷)かつ効果的に労働力を拡大しつつ需要の増減を管理できるようになっていることが示されている。

報告書では、プロジェクトベースの仕事の主な例として、研究開発やイノベーション、新技術の導入、コーポレートベンチャーなど6つの形を特定している。こうした仕事の多くは、プロジェクトベースの仕事のため特別に設計されたデジタルプラットフォームや企業を介して行われる。

フリーランサーはこうしたプラットフォームを通じ、英経済の健全性に大きな貢献をもたらしていた。同報告書は英国限定のものだが、著者らは報告書の調査結果が他の先進国経済にも当てはまると考えている。

ギグエコノミーを取り巻く議論は、先導役を果たす人の認識に合わせて過度に簡略化されてしまうリスクがある。ギグベースの仕事の重要性が過度に強調され、あたかも労働市場の中核を担っているかのようにみなされないよう、今回のような報告書を通してフリーランス経済のより広い側面に光を当てることが重要だ。
Adi Gaskell
 

この記事を書いた人