自治体から偽装請負なくそう/自治労連がパンフ作成

  病院や保育、学校給食調理など自治体業務の民間委託が進むなか、自治労連は「公務公共サービスの基本は直接雇用です」と題したパンフレットを作成し、全国の自治体職場の組合に配布している。委託化による「偽装請負」「違法派遣」をやめさせ、法令順守を確保するとともに、官製ワーキングプアをなくす運動の強化も狙いだ。
 民間競争入札などによって委託された自治体業務は、「請負」に該当する。受託会社は本来、発注者から独立して、設備・資材の調達、労働者の管理を行わなければならないが、委託元と同じ職場で働くことが多く、実態は派遣という「偽装請負」が問題となっている。
 パンフでは、労働者派遣、請負の違いについて、イラストや図を交えて解説。職場での交渉にも使える国会答弁や厚生労働省の「疑義応答集」なども掲載している。巻末のチェックリストを使えば、請負労働者自身が偽装請負かどうかを調べることも可能だ。
 窓口課郵送業務を直営化させた東京・墨田区職労など、実際に労働組合の取り組みによって業務委託を撤回させ、直接雇用を実現させたケースや労働局から是正指導させた事例も豊富に紹介している。
 自治労連がパンフを作成するのは今回で三回目。担当者は「今までは資料集的意味合いが強かったが、読みやすい内容にして普及版を作った。役員だけでなく、一般の組合員などみんなで読んでほしい」と話す。直接雇用は労働者の権利を守るだけでなく、住民サービス低下の予防にもつながるとして、「庁内世論を高め、当局に法令順守を徹底させたい」という。すでに五千部が配布済み。東京の保育や学校用務員の職場では、パンフを活用した学習会も開かれている。
「連合通信・隔日版」

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