スペインで女性530万人がゼネスト 国際女性デー

 BBC News JAPAN 2018/03/09

英語記事 ‘Millions’ join Spanish women’s strike)

http://www.bbc.com/news/world-europe-43324406
8日の国際女性デーに、スペインの女性たちが男女格差と性差別に反対する異例の24時間ストライキを行った。労働組合10団体や有力女性政治家たちによるゼネストには530万人が参加。スペイン全土の街中でデモが行われ、「女性が止まれば世界は止まる」のスローガンが叫ばれた。
ストを主催した「3月8日委員会」はこの日、参加した女性たちに働かないだけでなく、お金を使わず、家事もしないように求めた。バルセロナでは警察から主要道路をふさがないよう求められる場面もあったが、座り込みで抵抗する女性たちもいた。
夕方にはマドリード、バルセロナ、北部ビルバオ、北東部バレンシアといった都市でデモ行進が行われたほか、全国200カ所でさまざまなイベントが開催された。
スペイン全土で公共交通機関が間引き運行となり、空の便にも影響が出た。
マドリードの学校でデモの前線に立っていた教師のコンチャ・ノベルゲスさんはロイター通信の取材に対し、「私は独裁時代と民主主義の両方を経験しましたが、事態はあまり進んでいません」と話した。「やるべきことは山積みで、教育分野は大きな役割を担っています」

広告業のアナ・レイスさん(37)はAFP通信に「人口の半分を占める人たちの重要性が認識され、実際に変化が生まれることを願って」ストに参加したと語った。
3月8日委員会のマニフェストは「性差別的な抑圧、搾取、暴力のない社会」を目指すことで、「同等の職務に対し、女性が男性より低い給料や悪い労働基準で働くことを認めない」としている。
現地日刊紙エル・パイスの調査では、回答者の82%がストに賛成したほか、76%がスペインの女性は男性よりも厳しい生活を送っていると答えた。
スペインでは、性別を限定したストは法律で禁止されている。このためフェミニスト団体は、女性の不在がいかに重大な問題かを示すためにストを行っているとして、主旨に賛同する男性の参加を歓迎した。こうしたなかでスペインの主要2労組は組合員に対し、午前中に2時間、働くのをやめるよう呼びかけた。。
ストへの反応は?

ストに反対する人たちもいる。中道右派の与党・国民党(PP)は、このストは「フェミニストのエリートのためのもので、日常的な問題を抱える実際の女性のためではない」と非難した。またラホイ政権の女性閣僚5人のうち、イザベル・ガルシア・テヘリナ農業・漁業・食糧・環境大臣とクリスティーナ・シフエンテス・マドリード州知事は、女性の能力を示すために就業時間を延長した。
一方、テレビやラジオの主要キャスターはこの日の放送には現れなかった。俳優のペネロペ・クルスさんも予定していたイベントをキャンセルし、家庭内でストを行うと発表した。
マヌエラ・カルメーナ・マドリード市長とアダ・クラウ・バルセロナ市長もストを支持している。
ただ、国民自営業者連盟(ATA)はエル・パイスに対し、自営業で働く女性の圧倒的多数が、この日も就業していたと語った。
欧州連合(EU)の統計局ユーロスタットによると、スペインの男女賃金格差は公務員で13%、民間企業で19%となっている。
世界各国での国際女性デー

サウジアラビアではサルマン皇太子の下、女性に対する自由制限が緩和されており、この日はジョギング大会が行われた 2017年7月にイスラム過激派「イスラム国」(IS)から解放されたイラク北部モスルでも同様のイベントが行われ、女性たちが権利回復を求めた。

イタリア・ローマでは、著名女性たちがカトリック教会での権利拡大を求めた集会を行った。しかし教会側は参加者リストを批判し、ローマ法王フランシスコはこのためのミサへの出席を拒否した。メアリー・マカリース元アイルランド大統領はカトリック教会を「ミソジニー(女性嫌悪)の帝国」と説明した。

中国では、小売店がこの日を「女王の日」「女神の日」と呼び、女性顧客に対して化粧品などを値下げしたため、女性権利活動家の批判を浴びている。

ウクライナでは、ペトロ・ポロシェンコ大統領が女性記者に「ダーリン」と呼び掛けたことに反発し、女性ジャーナリストたちがフェイスブックで「私は貴方のダーリンじゃない」運動を展開した。

フランスの日刊紙リベラシオンはこの日、男女の賃金格差を批判するため、通常2ユーロの価格を男性に対してだけ50ユーロセント引き上げた。エマニュエル・マクロン仏大統領は今後、同等の職務に対して男女で賃金格差をつけている企業を公表する方針。

英国のハリー王子と婚約者のメガン・マークルさんはバーミンガムの複合施設ミレニアム・ポイントを訪れ、数学や科学分野に進む女性の学生を励ました。

アイルランドのサイモン・ハリス保健大臣は、5月に実施予定の人工妊娠中絶を事実上禁止する現行憲法をめぐる国民投票について、国際女性デーに投票に関する文言を確定できたことは喜ばしいと話した。

アフリカの各国首脳も女性の役割を称賛した一方、コートジボワールでは女性の就業を禁止する職業リストが更新されることが決まった。今後、「女性の能力や身体的限界を超える職業、地下や鉱山での就労といった女性の道徳を傷つける可能性のある職業」が禁止される。
 

 

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