KBS京都労組 非正規雇用労働者の安定雇用実現へ、また成果

 (W)KBS京都労組は、派遣、有期など非正規雇用問題に長年、取り組んできました。その活動の結果として、この春闘でもまた新たな成果をあげました。地道な取り組みを続け、小規模の労働組合でありながら、大きな成果を上げ続けています。最近、約1年間だけですが、関連記事を集めてみました。

 
□派遣→直接雇用→無期 安定雇用へ道筋整備 KBS京都労組 春闘で実現
 
しんぶん赤旗 2019年4月23日
 
 KBS京都放送労働組合(民放労連加盟)は、春闘交渉のなかで、派遣契約から3年で直接雇用化した労働者をさらに5年雇用継続で無期雇用転換する道筋を整備する回答を引き出しました。
 同労組は、2017年の春闘で、派遣社員をKBS京都へ直接雇用化する制度を実現しました。ただし、雇用形態は、期間3年の有期雇用だったことから、無期雇用にすべきだと会社との交渉を継続していました。
 無期転換制度の内容は、(1)3年の有期雇用の期限が切れる前に労組が雇用継続を会社に要求する(2)会社は1年契約を3回更新する(3)5年を超え、労組は労働契約法18条にそって無期転換を申し込む―というものです。
 派遣から直接雇用化した組合員は、「本心では、無期雇用になるのは無理だろうと思っていました。しかし、組合が粘り強く2年がかりで回答を引き出し、すごいと思いました」「直接雇用になっても有期なので不安がありました。無期転換の実現で心配せずに働けるようになり肩の荷がおりました」と喜んでいます。
 同労組は、「生涯ハケン」といわれる派遣労働者が、京都放送構内で雇用の大原則である「直接かつ無期雇用」への道筋をになったことは全国の非正規雇用労働者の地位向上に大いに役立ったと評価しています。制度の労使協定は、連休後に調印します。
 
□シリーズ許すな「派遣切り」再来 直接雇用を実現 KBS京都労組 2018年10月11日
 
しんぶん赤旗
 
 多くの企業で派遣受け入れ期間の区切りとなる10月、KBS京都放送労働組合は、派遣労働者の女性組合員の直接雇用を実現しました。改悪された派遣法のもとでも、労働者と労働組合のたたかいで雇用を守る道を切り開いています。(田代正則)
 
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(写真)直接雇用になる平澤絵理さん
 
 3年前の2015年9月30日、安倍政権による改悪派遣法が施行され、派遣先企業は最長3年の派遣可能期間を職場単位で延長できるようになり、3年を超えても、派遣労働者を入れ替えれば、直接雇用を申し込まずに派遣を受け入れ続けられます。
 
3年で契約切り
 個々の派遣労働者にとっては、同一職場で3年までしか働けないため、改悪法施行から3年の区切りとなる10月以降、直接雇用されなければ、「派遣切り」が再来する危険があります。
 直接雇用されることになったのは、平澤絵理さん(36)。3年前の10月、KBS京都(京都市上京区、社員129人)に派遣され、働いていました。これまで事務作業など五つの職場に派遣されましたが、どの職場でも3年程度で契約打ち切りを繰り返してきました。
 平澤さんは、KBS労組から「直接雇用になった先輩がいる」と声をかけられ加入しました。
 改悪派遣法では、職場の過半数を組織する労働組合が派遣期間の延長に反対しても、会社はその意見を聴取さえすれば、延長を強行できます。
 
指針を最大活用
 KBS労組は、派遣労働者の行っている業務が放送局に欠かせないものであり、派遣は「臨時的・一時的業務」に限るという大原則に反すると強調。改悪派遣法のもとでも、派遣先企業に雇用の安定に配慮するよう求める指針があることを最大限活用し、組合員の直接雇用化を要求、交渉して実現しました。
 平澤さんは、「女性は年齢を重ねると、派遣の紹介先も減っていきます。職場には、直接雇用された先輩が一緒に働いているので私も働き続けたいと思っていました」と喜びます。
 リーマン・ショックに端を発した大量の「派遣切り」から10年。安倍政権の派遣法改悪から3年がたち、派遣労働者の入れ替えが再び大規模に開始される時期を迎えています。「派遣切り」の再来を許さない労働者、労働組合のたたかいをシリーズで追います。
 
安定雇用実現へ 労組の力
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(写真)KBS京都放送=京都市上京区
 
 KBS京都放送で、派遣労働者をへて10月から直接雇用になる平澤絵理さんの仕事は、放送前の映像をチェックする「プレビュー」と呼ばれる業務です。
 映像の乱れをはじめ、差別的な表現などもあれば問題提起します。「昔の映像には、今では使えない言葉が含まれていることがあります。最近も、バラエティー番組の出演者のTシャツに問題のある言葉が書いてあり、私が指摘して差し替わったことがありました」
 
経験と知識必要
 プレビューは、放送局の信頼にかかわる日常業務であり、派遣の原則である「臨時的・一時的業務」とはいえません。長く務めることで蓄積する経験と知識が重要です。ところが、KBSのプレビューは今年初めまで正社員2人と派遣労働者6人で行っており、経験の継承が課題になっていました。
 平澤さんは「3年で、やっと仕事が分かってきたところです。もっと長く働けばステップアップできます」と強調します。
 組合は、派遣期間の区切りとなる10月に、職場で最初に3年を迎える平澤さんを直接雇用にしようと準備を進めていました。
 8月28日、会社から組合へ派遣可能期間を延長したいと通知書が送られてきました。
 組合は意見聴取を受けるにあたって、何人の派遣労働者をどの部署のどんな業務につけているのか会社をただしました。
 放送局には23人の派遣労働者がいることが分かりました。このうち、すでに過半数の13人が組合に加入しています。
 組合は、派遣受け入れ期間の延長に反対し、直接雇用・無期雇用にすべきだと意見表明。平澤さんについても直接雇用の要求書を提出しました。
 9月18日、会社は職場での派遣受け入れ延長を表明する一方、個々の派遣労働者が働いて3年たち、労働組合から申し出があった場合は、直接雇用する方針だと答えました。
 平澤さんは「これまでの職場では労働組合の存在も知りませんでした。私たちの要望を聞いて取り組んでくれたのはKBS労組が初めてです」と話します。
 
派遣ゼロめざす
 KBS労組はこれまで13年に2人、14年に1人の派遣労働者を直接雇用に転換しています。
 組合は改悪派遣法に対抗して、16年春闘で、直接雇用化を継続するよう要求し、会社は「派遣社員の組合員について直接雇用の要求を出せばこたえる」と回答。直接雇用化制度ができ、今年4月に1人が直接雇用になりました。違法派遣の「偽装請負」で19年働いていた女性も、労働局に申告して是正され、今年から直接雇用になっています。
 古住公義副委員長は「派遣労働者を順次直接雇用にして『派遣ゼロ』をめざします。引き続き未加入者を組合に迎え安定した雇用を求めていきます」と話しています。
 
□無期転換で雇用守る KBS労組・女性組合員3人、団交で回答得る
 
2018-03-03T18:09:52+09:00ニュース, 労働, ピックアップ画像ニュース
 
 改正労働契約法(2013年)の「無期転換ルール」が始まる4月を前に、京都放送労組では、有期雇用契約で働く女性組合員3人が、無期雇用への転換をかなえました。
 3人は、3月で雇用継続5年を迎えるため、4月に無期雇用転換の申し込みを予定していた組合員。会社側が9日の団体交渉で、「4月から1年の有期契約を継続し、申し込みを受けて来年、無期雇用転換する」と回答しました。
 有期雇用で働く人(パートタイマーやアルバイトなど)が、契約更新を繰り返し、通算5年を超えた場合、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)への転換を定めた、労働契約法(18条)にもとづくもの。
 非正規で働く人の雇用ルールが変わり、有期社員の「無期転換ルール」(4月)、派遣社員の「派遣期間3年ルール」(10月)の運用が始まる今年、使用者側が、雇い止めや派遣切りを行い、無期転換や直用化を逃れる「2018年問題」が指摘されています。
 同労組は、17年の年末闘争で、派遣社員として働く組合員の直用化を実現しており、派遣法でも労働契約法でも、心配された雇用不安を解決したことになります。
 
■労組の奮闘が職場変えた/中村和雄弁護士
 法律上の権利行使が発生する4月を待たず、会社との交渉で、無期雇用を実現したことは素晴らしい。正規、非正規を問わずKBS構内で働く人の雇用と処遇の改善に取り組み、これまでにも派遣労働者の直用化を実現し、職場全体が、直用・無期に向けて変わってきていると思います。同労組のたたかいの経験を知らせ、同様の運動が大きく広がることを期待します。
 
京都民報
 
□KBS京都で派遣スタッフ女性2人の直接雇用実現/署名運動、街頭宣伝・・・労組の粘り強い運動実る
 
2017-12-23T12:23:05+09:00
 
 「生涯派遣」「雇い止め」など、労働形態にかかわる法改悪の影響が懸念される2018年を前に、テレビ・ラジオ放送局KBS京都(株式会社京都放送、京都市上京区)で、派遣労働者の女性2人が直接雇用されることになりました。職場復帰と雇用継続がかない、「引き続き働ける。うれしい」と意欲を高めています。
 
■“支援に感謝”“組合の存在心強い”
 2人は、元派遣スタッフの佐藤典子さんと来年3月末で3年の契約期限を迎えるAさん(42)。民放労連京都放送労組(小泉達郎委員長)の組合員です。
 それぞれ実現の過程は異なりますが、「非正規労働者の生活と労働条件を守り、向上をめざす」観点で、労働組合が粘り強く運動した成果のたまものです。
 佐藤さんは、派遣社員として報道のテロップ業務に18年間従事していました。労組に入って15年秋、無期直接雇用を要求。直用化には2年を要しました。
  佐藤さんの働き方は、日常業務の指示や命令を派遣元ではなく、派遣先(KBS京都)で受ける「偽装請負」が疑われるとして、同労組が京都労働局に是正を求めましたが、昨年の春は「違法性はない」と判断。再調査を働きかけ、秋に違法認定を勝ちとりました。同社は派遣元との契約を解除。
 これを受けて同労組が、「労働契約申し込みみなし制度」の適用なども視野に入れて、直接無期雇用にするようKBS京都に求めました。「違法ではなく、堂々と働ける」と喜んだ佐藤さんの期待を裏切り、同社は佐藤さんの職を奪いました。
 労組は、佐藤さんの雇用確保を求めて署名運動、街頭宣伝を展開。民放労連の定期大会で会社社長あてに、佐藤さんの「無期直用化を求める決議」を2大会にわたり採択するなど、世論と支援の輪を広げました。署名に寄せられた約4700人の賛意と、要求に応じない経営陣を株主総会(6月)で退陣させ、事態が好転。年末闘争で念願がかない、佐藤さんは来年1月から職場に戻ることになりました。
 1年前の支援集会で、「これまでと同じ待遇でKBS京都で働き続けたい」と話していた佐藤さんは、「(願いがかなうのは)無理かなと不安もあったので、ほっとしました。みなさんの支援に感謝し、頑張りたい」と気持ちを新たにしています。
 Aさんは、18年4月から直接雇用(常勤アルバイト・3年半の有期)が決まりました。
 同労組が16年の春闘で、派遣労働者の処遇改善を繰り返し要求するなか、会社側が「派遣社員の組合員が会社に直接雇用の要求を出すなら、それに答える」と回答し、「直用化制度」が実現しました。
 この年末闘争でAさんは、契約が切れた後の直接雇用を希望し、同制度の適用第1号となりました。
 派遣元と3カ月ごとの契約更新を重ねてきたAさんは、「直接雇用はありがたい。慣れた職場で雇用の見通しができたことはうれしい」と喜びます。
 以前、他県の放送局でも派遣待遇で働いた経験があり、派遣元の労組に入っていましたが、要求が直接、派遣先の局に届かず、歯がゆい思いをしました。「(派遣先の)局で働く人と同じ組合に入れること自体がすごいこと。直用化もかない、組合の存在を心強く感じます」と話しています。
 
■非正規「格差是正」さらに/古住公義副委員長
 KBS京都は15年10月、会社更生手続きでの完全弁済を終えました。再建達成の到達からみて、再建途上の厳しい時代を共にし、番組作りに貢献してきた一人である佐藤さんの要求に応える姿勢を追求し、相次いで2人の直用化が実現しました。非正規労働者も社員同様に仕事に貢献しており、格差是正を基本要求に、雇用、待遇の改善をめざす課題に引き続き取り組みます。
 
(写真上=直接雇用を喜ぶ佐藤さん〔右から2人目〕と古住副委員長〔同左〕ら、写真下=直用化制度適用で雇用継続が決まったことを祝う労組の仲間とAさん)
(「週刊京都民報」12月17日付より)
京都民報
 

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