日産「非正規切り」和解 中労委 全面解決、派遣法に一石
しんぶん赤旗 2019年8月20日
JMITU神奈川地方本部と日産自動車、日産車体は19日、中央労働委員会(岩村正彦会長)で日産「非正規切り」裁判元原告5人(同労組組合員)の争議について和解し、争議が全面解決しました。詳細は非公表です。
同労組は16年1月、両社が団体交渉拒否などの不誠実な対応を続けるため、県労委に救済を申し立てていました。18年2月、県労委は、日産自動車が派遣従業員2人の使用者だと認めるなどの労働者側勝利の命令を下しましたが、労使双方が異議を申し立て、中労委で再調査していました。
和解後の会見で、弁護団の田井勝弁護士は「元原告たちは、多くの労働者が非正規切りされる中、立ち上がり、あらがい続け、非正規の問題を示してきた。この間行われた派遣法の改定も、たたかいの成果。解決には大きな意義がある」と強調しました。
車体元期間従業員の釜倉猛さん(42)は、会見で「肉体的、精神的、経済的に苦しかった。今は安堵(あんど)している」と話しました。
日産元派遣従業員の女性は和解後の集会で「5人でゴールできて良かった」と涙し「私たちのほうを向こうとしなかった日産を、ふり向かせることができた。10年間というたたかいの解決にふさわしい」と語りました。
日本共産党の畑野君枝衆院議員が中労委を訪れ、元原告らを激励しました。
日産「非正規切り」裁判 2009年2月、当時のCEOカルロス・ゴーン氏が全世界で約2万5千人を削減すると発表し、日本国内では同年2月〜3月末にかけて、グループ内の非正規従業員約8千人を雇い止めにしました。両社で派遣・期間従業員として約6年間働いていた神奈川県在住の労働者5人が同年5月、雇い止め撤回・正社員化を求め、両社を提訴。最高裁まで争いましたが、16年12月、不当判決で終結しました。