2020年度概算要求の焦点(4) 雇用 「多様な人材」活用促進 (9/20)

2020年度概算要求の焦点(4) 雇用 「多様な人材」活用促進

しんぶん赤旗 2019年9月20日

 厚生労働省の2020年度概算要求の雇用関連予算は、高齢者や「就職氷河期世代」、外国人労働者など「多様な就労・社会参加の促進」を掲げます。

 1993年から2004年の間に大学などを卒業した「就職氷河期世代」の無業者と非正規雇用者、約100万人への支援は653億円(19年度当初予算比164億円増)です。

 しかし、このうち527億円(88億円増)は生活困窮者・ひきこもり支援の予算です。氷河期世代だけでなく、中高年のひきこもり者を対象に含みます。内閣府などを含む政府全体の氷河期世代対策予算の9割以上が氷河期世代以外も対象としています。実質的な支援額は不透明です。

 氷河期世代支援でハローワークへの専門窓口の拡充(13億円)や、新たに資格取得の支援(35億円)を行います。

 高齢者の就労促進に313億円(24億円増)を要求しました。ハローワークの「生涯現役支援窓口」増設や、65歳以上の継続雇用や定年引き上げへの助成措置です。

 働く高齢者が増えているのは、低年金などで働かなければ暮らせないからです。年金収入だけで暮らせない高齢者を、安い労働力として利用しようというのが狙いです。

対応言語14カ国
「外国人材」受け入れの環境整備は125億円(17億円増)です。外国人労働者の労働相談・支援体制の強化は19億円(6億円増)。電話で通訳する「多言語コンタクトセンター」(委託、2600万円)の対応言語を11から14カ国に増やします。ハローワークで利用できますが、都道府県の労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーでも利用可能にします。

 外国人労働者受け入れの主な仕組みとなってきた技能実習制度では、法令違反が横行し、問題となっています。4月には外国人労働者受け入れの新制度が始まりました。違法行為の相談が増えると、対応しきれない恐れがあります。

 「長時間労働の是正」などは359億円(50億円増)です。労働時間の短縮に取り組む中小・小規模事業者の支援は176億円(28億円増)。生産性の向上が前提条件です。

深刻な人員不足
長時間労働の是正やブラック企業の摘発に欠かせない労働基準監督官は、深刻な人員不足が続いています。110人の増員を要求しましたが、どれだけの純増になるかは不透明です。

 賃金引き上げに向けた「生産性向上」などの推進や同一労働同一賃金などの確保は1449億円(226億円増)。1230億円(235億円増)をキャリアアップ助成金に充てます。非正規雇用の正社員転換などに取り組む事業主を支援する措置です。

 フリーランスなど「柔軟な働き方」がしやすい環境整備は6・4億円(1・5億円増)です。フリーランスに対する相談支援は8500万円(1000万円増)。フリーランスが発注者とのトラブルについて相談できる窓口を整備します。

 (つづく)
 

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