「同一労働同一賃金」 派遣社員受け入れ企業の6割が「コストアップ」を懸念
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/10/24370901.html?p=all
J-Cast News 2019/10/24 20:00
2020年4月1日から導入される「同一労働同一賃金」について、派遣社員を受け入れる企業の7割以上が「影響がある」と答えていることが、求人情報サイト運営大手、ディップ株式会社のディップ総合研究所の「同一労働同一賃金の導入による影響・実態調査(派遣先企業編)(派遣社員編)」でわかった。10月23日に発表した。
「同一労働同一賃金」の導入で、6割以上の企業でコストが「上がる見込み」を示した。その一方で、「良い人材が来る」「任せる範囲が広がる」など期待も高まっている。派遣社員側からは、約3割が「業務内容が広がる、責任が大きくなるのではないか」との懸念をもち、企業側の期待とのギャップがみられた。
〔写真〕「同一労働同一賃金」施行で企業の「派遣社員」への期待が高まっている
業務効率化につながる期待も
調査によると、回答を得た派遣先企業のうち、「同一労働同一賃金」の導入について「とても影響する」と回答したのは30.3%。「やや影響する」(40.2%)と合わせ、70%以上が何らかの影響を見越している。導入後のコストについては、「大幅に上がる見込み」としたのが13.7%で、「やや上がる見込み」(46.5%)と合わせ、60%以上がコスト増を予想していた。
新たな体系導入後の派遣社員の受け入れで「期待すること」(複数回答)については、「より良い人材を派遣してもらえる」が37.5%で最多。次いで、「依頼から派遣までのスピードが早くなる」(28.8%)、「派遣してもらえる人材の幅が広がる」(28.6%)、「任せる業務内容の幅が広がる」(27.3%)―― など、業務効率化につなげたい意向がにじむ結果に。一方で、3割以上が「特に期待することはない」(31.0%)と回答した。
派遣社員、30代以下で低い認知度
「同一労働同一賃金」を含む改正有期雇用労働法の施行は来年に迫っているが、派遣社員を対象にした調査では、新制度について「どの程度知っているか」聞いたところ、その認知度は「制度名だけは知っている」が42.9%、「制度の概要まで知っている」は10.3%で、合わせて約5割。46.8%は「制度のことはまったく知らない」と回答した。
制度の認知度を年代別にみると、18〜24歳で65.4%、25〜29歳で59.3%、30〜34歳で60.6%が「まったく知らない」と回答するなど、30代以下で低い傾向だった。
また、「同一労働同一賃金」の導入にあたり「懸念すること」(複数回答)を聞いたところ、48.3%が「契約が更新されないのではないか」と回答し、これが最多だった。「企業側の依頼が減り、派遣の仕事自体が減ってしまうのではないか」(40.2%)、「派遣会社から紹介してもらえる仕事が減ってしまうのではないか」(39.1%)、「時給が下がるのではないか」(38.2%)、「業務内容の範囲が広がる、または責任が大きくなるのではないか」(30.5%)などが続いた。
「懸念すること」の質問では、新制度が「同じ企業で同じ業務を行う正規雇用者と非正規雇用者との不合理な待遇差をなくす制度」であることを説明したうえ、回答を求めた。
なお調査は、全国の派遣社員を受け入れている企業を対象に実施。有効回収数は1003社。「派遣社員編」は、全国で派遣社員として就業している18歳〜69歳の男女を対象に実施。有効回収数は、2956サンプル。調査期間は2019年9月5日〜11日まで、インターネットで実施した。