岩手日報「フリーランス労働 権利守る法整備を急げ」 (10/25)

フリーランス労働 権利守る法整備を急げ
https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/10/25/66820
岩手日報 2019.10.25

 会社などの組織に所属せずに、発注相手と契約を交わして報酬を得るフリーランス労働が広がっている。政府も成長戦略でフリーを選択できる環境整備を促している。

 とはいえフリーランスの場合、労働者を守る関連法令は一般的には適用されない。発注者から不利な条件を押しつけられることもある。権利の保護をいかに図っていくかが問われている。

 内閣府は今年、フリーランスについて試算。それによると、300万人台前半で、就業者全体約6600万人の5%程度を占める。

 本業とする人では、「一人親方」などの建設業が最も多い。他には卸売・小売業、学術研究、専門・技術サービス業、情報通信業、運輸・郵便業などだ。

 一方、会社員などが副業として請け負うのは100万人規模で存在するとみられる。政府は働き方改革の中で副業や兼業を推奨しており、この動きを後押ししそうだ。

 発注者から仕事を請け負うフリーランスが、実質的には従属した指揮下に置かれている例がみられる。また、芸能界やメディア業界などでは、力関係を背景にパワハラやセクハラの横行が指摘される。実態を踏まえた労働者保護が必要だ。

 フリーランス労働として最近話題を集めている一つに、スマートフォンアプリを通じて依頼に応じ、食事を宅配するサービスがある。空いた時間を使って働くことができるため広がりを見せる。

 ただ、従業員としてではなく個人事業主として扱われ、事故に遭っても十分に補償されないなど配達員の立場は弱い。配達員らの労働組合が今月設立されたのには、このような背景がある。

 連合はフリーランスの支援強化を打ち出し、定期大会で「フェアワーク推進センター」創設を掲げた。外国人労働者なども含め既存の労働組合の枠外にある人たちの相談機能や実態調査を担う。

 今後、本県でもフリーランス労働が増えていく可能性がある。連合岩手は「連合本部の動向を踏まえながら取り組んでいくことになる。本県の詳しい実態は把握していないが、労働相談は幅広い分野について柔軟に対応する」としている。

 労働法がかつてモデルとした「労働者」像は、工場で集団的に働く人だった。時代とともに労働の形態や仕組みは多様化した。激変する時代の要請ではあろうが、法整備の遅れもあって、弱い立場にある者が不利な条件を押しつけられ、泣き寝入りするケースもみられる。

 それらを放置してはならない。多様な働き方に呼応した法整備が望まれる。
 

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