「特定技能」外国人、中国地方わずか15人 入管法改正半年 手続き煩雑利用低調 国の見込みと隔たり (1/8)

「特定技能」外国人、中国地方わずか15人 入管法改正半年 手続き煩雑利用低調 国の見込みと隔たり
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2020/1/8(水) 21:40配信 中国新聞デジタル
「特定技能」外国人、中国地方わずか15人 入管法改正半年 手続き煩雑利用低調 国の見込みと隔たり
特定技能の在留資格でカキ打ち作業場で働く孫さん(呉市)

 外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が昨年4月に施行されてからの約半年間で、中国地方で新たな在留資格「特定技能」で働き始めたのは15人にとどまっていることが8日、分かった。多くが技能実習からの移行だが、煩雑な申請手続きなどから利用は低調。全国でも特定技能の在留者は219人しかおらず、5年間で約34万人を受け入れるとした政府の見込みと大きく乖離(かいり)している。

 「中国の3倍稼げる。頑張るね」。呉市の水産加工会社で中国出身の孫芳さん(32)が笑顔を見せた。3年前にカキ打ちの実習生となり、昨年10月に「特定技能1号」へ在留資格を変更した。仕事内容は同じだが「転職」も認められ、繁忙期だけ勤務するなど働き方にも幅ができたという。

 同改正法は2018年12月に成立。実習生は3年以上の経験があれば、無試験で「特定技能1号」へ移行でき、最長5年は在留が可能となる。対象はカキ養殖業を含む漁業など14業種。一方、家族帯同や事実上の永住が認められる「2号」は、建設と造船・舶用工業の2業種に限られる。

 同社では実習生7人のうち孫さんが1号への移行を希望した。延谷新社長(65)は「仕事も速く、残ってくれて助かった。人手不足だし、他の実習生も移行できれば」と期待する。

 法務省によると、昨年9月末時点での中国地方の特定技能1号の在留者は、岡山7人、鳥取5人、広島3人の順で多く、山口、島根はゼロだった。国は初年度、最大約4万人と見込んでいた。2号は全国でもまだ一人もいない。

 特定技能の外国人を支える「登録支援機関」のNPO法人ビザサポートセンター広島(広島市)の益田浩司理事長は「申請手続きが複雑で時間もかかる。こうした課題を見直さないと企業での活用は広がらないのでは」と指摘している。

中国新聞社
 

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