派遣料「同一賃金」に対応 人材大手1〜2割値上げへ (1/10)

派遣料「同一賃金」に対応 人材大手1〜2割値上げへ
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2020/1/10 22:34日本経済新聞 電子版

〔写真〕派遣社員は時給が上昇する半面、新たな就労機会が減る可能性もある

大手人材派遣会社は4月以降、企業への派遣料金を引き上げる。パソナは2割程度、パーソルテンプスタッフも交通費分のほか、1時間あたり100円程度の値上げの方向で顧客企業と交渉する。正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を禁じた「同一労働同一賃金」に対応し、派遣社員への給与の上乗せ分を転嫁する。

料金は現状から1〜2割上がるとの見方がある。派遣社員の収入増につながる半面、負担の増加を敬遠する企業の受け入れが減る可能性もある。

4月に始まる同一労賃ルールへの対応は、改正労働者派遣法の規定に基づく。1つは基本給や賞与などを同じ仕事をする派遣先企業の従業員に合わせる方式だ。仕事の内容が同じでも、派遣先従業員の賃金によって給与に差が出る場合がある。

もう1つは業務内容や働く地域ごとに厚生労働省が示す賃金基準に応じ、派遣会社内でそろえる方式だ。パソナやパーソルテンプスタッフのほか、リクルートスタッフィングなど大手はこの方式で待遇を改善する。人件費の伸びは避けられず、各社は自力で負担するのは困難と判断した。

人手不足で事務職を中心に派遣社員の確保が難しくなっている。派遣各社は時給を引き上げて社員を募集しており、こうした経費の増加分も上乗せする。

一般的に派遣料金の6〜7割が派遣社員の時給に充てられる。人手不足のみを理由とした時給の引き上げに比べ、派遣社員は大幅な収入の増加につながる見通しだ。

一方で、派遣社員を受け入れる企業は負担増につながる。人材サービス大手エン・ジャパンの中島純派遣会社支援事業部長は「業務量が増えても新たな派遣社員の受け入れに慎重になる動きが出そうだ」と指摘する。派遣社員の就労機会が減るリスクもある。
 

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