早期退職や希望退職募った企業急増 黒字企業も人員削減の動き
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NHK News 2020年1月15日 16時59分
去年、早期退職や希望退職を募った企業が急増し、対象者の人数が6年ぶりに1万人を超えたことが民間の調査で分かりました。業績不振の企業だけでなく、黒字の企業が人員削減に踏み切る動きが目立っています。
民間の信用調査会社、東京商工リサーチによりますと、去年1年間に定年前に退職する社員を募る、早期退職や希望退職を行った企業の数は、前の年の3倍にあたる36社に増えました。
その対象者は1万1351人に上り、6年ぶりに1万人を超えました。
内訳を見ると、東芝や液晶大手のジャパンディスプレイなど、業績が振るわなかった電機機器関連の企業が12社と最も多くなりました。
その一方で、アステラス製薬やカシオ計算機など、直近の決算が黒字だった企業が全体の半数を占めました。
また、ことし以降に早期退職や希望退職を予定している企業9社のうち7社は黒字決算で、業績が比較的好調な企業が人員削減に踏み切る動きが目立っています。
これについて調査会社は「デジタル化の波が押し寄せ、構造改革を行う企業が増えてきたことが背景にある。経営体力のあるうちに人員の構成を見直す動きは今後さらに加速しそうだ」と話しています。
専門家「受け皿作りや企業内での再配置も必要」
早期退職や希望退職を募る企業が急増していることについて、労働市場に詳しい日本総研の山田久さんは「デジタル技術の対応に遅れを取っているという危機意識を持つ企業が多く、将来の事業変革に対して、予防的に人員を見直す動きが出てきている。人手不足と言いながらも、団塊ジュニアと呼ばれる中高年の世代は数が多いことも要因の1つだ」と分析しています。
そのうえで「中高年の管理職を安易に手放すことは、若い世代にとっても悪いメッセージになりかねない。40代以上の転職や再就職はまだ少ないため、人材の受け皿となる企業とマッチングさせる仕組み作りや、企業内で再配置していく工夫も、今後は必要になってくる」と指摘しています。
早期・希望退職募る大手企業相次ぐ
大手企業の間では、黒字決算でも業務の見直しになどに伴って、早期退職や希望退職を募る動きが相次いでいます。
このうち、コンビニ大手のファミリーマートは、24時間営業の見直しなどに合わせて組織の効率化を図るため、来月までに原則40歳以上を対象に、本部の社員の1割にあたる800人の希望退職を募るとしています。
また、大手食品メーカーの味の素は、将来の成長に向けて人員の体制を見直すとして、今月から3月にかけて50歳以上の管理職を対象に、およそ100人の希望退職を募集するとしているほか、キリンホールディングスも去年、傘下の事業会社も含めて45歳以上の管理職を対象に希望退職を募りました。
大手電機メーカーの富士通は、構造改革の一環として去年、2850人が早期退職制度に応募したほか、グループ内で人員の配置転換も進めています。