介護暴行死、馬乗りで暴力2時間…被告「ストレスあった」 (1/16)

介護暴行死、馬乗りで暴力2時間…被告「ストレスあった」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200116-00050264-yom-soci
2020/01/16(木) 21:10配信

(写真:読売新聞)

 札幌市東区で昨年7月、在宅介護を受けていた重度障害者の男性を暴行して死亡させたとして、傷害致死罪に問われた同市豊平区の元介護職員太田幸司被告(25)の裁判員裁判の第2回公判が15日、札幌地裁(駒田秀和裁判長)であった。被告人質問で、太田被告は男性に馬乗りとなり、断続的に約2時間、暴力をふるったと明かした。

 起訴状などによると、太田被告は昨年7月19〜20日、同市東区のアパートで、重度の障害がある無職山下茂樹さん(当時35歳)の顔面を複数回、拳で殴るなどし、脳ヘルニアで死亡させたとされる。

 検察官と裁判官からの被告人質問で、太田被告は、夜間に目を覚ました山下さんを約2時間にわたり、断続的に暴行したと説明。「馬乗りで髪をつかんだ。裏拳であごを殴り、背中を蹴った」などと述べた。

 太田被告が事件直前の19日午後6時20分頃、ツイッターに「最近ストレスの発散の仕方がわからない」などと投稿し、うっぷんを募らせていたことも明らかになった。

 暴行時の心理状況を検察官から尋ねられると「分からない」と繰り返したが、事件前は仕事で悩んでいたと説明。「仕事を休ませてもらうなど(事件を)回避する方法はたくさんあった」などと振り返った。

 太田被告は今月14日の初公判で起訴事実を認め、争点は量刑となった。検察側の冒頭陳述などによると、太田被告は2017年10月、山下さんの母親が運営する介護事業所で勤務開始。昨年6月から重度訪問介護制度を利用して、一人暮らしを始めた山下さんらの介護を担当していた。

 太田被告側は事件前の勤務時間が長く、年次有給休暇(有休)も十分に取れずにストレスがあったと主張し、情状酌量を求めている。

 初公判で証人として出廷した山下さんの母親は「息子が亡くなってから時間が止まっているようだ。厳罰を望む」と悲痛な思いを述べた。一方、太田被告に勤務の負担軽減を求められていたとして「被告のSOSに気づけなかったのは残念」とも話した。

 「人手不足や低賃金課題」

 介護職員でつくる労働組合「日本介護クラフトユニオン」(東京)の2019年度の就業意識実態調査では、有休が「取得できない」と回答した月給制の組合員は約4割だった。

 調査は19年3〜4月、組合員約6400人を対象に実施し、3863人から回答を得た。その結果、有休が「全く取得できない」とした月給制の組合員は11・2%、「なかなか取得できない」(29・2%)と合わせると40・4%を占めた。

 有休を取得できない理由(複数回答)で最も多かったのが「人手不足」の67・6%だった。次いで「仕事量が多い」(39・3%)、「周囲に迷惑をかける」(23・7%)などとなった。

 淑徳大の結城康博教授(社会福祉学)は「人手不足や低賃金は、介護の質の低下や虐待リスクの上昇につながっている。国は介護労働の報酬をより手厚くするなど、十分な財政措置を講じるべきだ」と指摘した。
 

この記事を書いた人