第22回 ホワイトカラーとブルーカラー、どっちが長い?

ここ数回、性別、雇用形態別、年齢階級別の労働時間の違いについてみてきました。今回はホワイトカラーとブルーカラーの違いについて取り上げてみましょう。
 
戦前の日本社会では、ホワイトカラー(職員――社員と準社員)とブルーカラー(工員)の間に明らかな身分的差別がありました。そのためにホワイトカラーよりブルーカラのほうがずっと労働時間が長かったと言われています。そのことは戦前(戦中)の「NHK国民生活時間調査」(1941−42年)に、男性の1日当たりの労働時間は、ホワイトカラーが7.5時間、ブルーカラーが10時間であったという数字が残っていることからも確認できます。
 
しかし、今日では労働時間は、戦前とは逆にホワイトカラーのほうがブルーカラーより長くなっています。ホワイトカラー比率の高い金融・保険業業とブルーカラー比率の高い製造業を比較すると、表1に見るように、男女ともわずかですが、週労働時間は金融・保険業のほうが長いことがわかります。
 
ブルカラー比率が高い製造業においても、2007年現在、就業者1165万人中、367万人(32%)はホワイトカラー職種(専門的・技術的職業従事者、管理的職業従事者、事務従事者、および販売従事者)で占められています。そこで製造業におけるホワイトカラーとブルーカラーの労働時間を比較した結果が表2です。これによれば、男女ともホワイトカラーはブルーカラーより長時間働いていることが明瞭に確認できます。
 
このことはブルーカラー以上にホワイトカラーに過労死・過労自殺、とりわけ過労自殺が多発する一因をなしています。次回は厚生労働省の資料からそのことを考えてみましょう。
 
表1 常用雇用者の労働時間比較
 
製造業
金融・保険業
男性
46.2
46.7
女性
38.2
39.3

    (出所)「労働力調査」2007年詳細結果

 
2 製造業におけるホワイトカラーとブルーカラーの労働時間
 
ホワイトカラー
ブルーカラー
製造業平均
専門   技術
管理
事務
販売
生産工程
労務
男性
48.0
46.4
45.9
49.1
45.1
42.8
45.8
女性
43.1
37.9
37.6
39.8
35.7
32.3
36.3
 (出所)「労働力調査」2007年平均結果

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