労働政策審議会(労政審)という厚生労働大臣の諮問機関があります。諮問機関といっても、公益代表、労働者代表、使用者代表の3者構成をとることによって労働政策を実質的に決めている政府機関です。
労政審には、10を超える分野別の部会や分科会の一つとして、「職業能力開発分科会」が置かれています。今日の話はそこで使用者委員を務めている山野壽子(ひさこ)氏に関わることです。
本ブログの「注目のニュース」に転載した「朝日新聞」(2010年3月27日)の記事によれば、厚生労働省は本年3月26日、美容業のビューティトップヤマノ(東京都中央区)など7社の社名を、障害者の実雇用率が法定雇用率(従業員の1.8%以上)を大きく下回り、指導・勧告を繰り返しても改善がみられなかったとして、公表しました。
その記事によると、同社は2006年6月時点の障害者雇用率が0%で、労働局が雇用計画の作成命令や勧告を発令して、指導を繰り返したにもかかわらず、今回の社名公表の基準となる本年1月1日時点でも0.49%にとどまっていたといいます。
厚生省によれば、民間企業の障害者の実雇用率は1.63%で、法定企業を達成している企業の割合は45.5%にとどまっています。この背景には、実雇用率が法定雇用率を下回った場合、法律を守るより金ですませる(不足人数1人に対して月額5万円の雇用納付金を支払う)という企業の対応があります。ヤマノ方式は金で済ませる最悪の見本ともいえます。
これは知っていて法令無視を続ける確信犯ですが、その犯人企業の副会長が、分科会とはいえ政府審議会の使用者委員であるというのはあきれて物も言えないという感じです。即刻更迭すべきですが、使用者委員を止めさせられたという話はまだ聞きません。これでいったい示しがつくのでしょうか。