この週末、久々に私のホームページを一部更新しました。それというのも、このブログ(「働き方ネット大阪」)に連続講座を書くようになってから、自分のホームページまでは手が回らなくなったからです。「ささなき通信」という私のブログもあり、以前は趣味のバーディング(探鳥)の随想などをときどき書いていましたが、最近はバーディングにもほとんど行けなくなり、ブログのほうもすっかり留守になっています。
今回、更新したホームページ情報は、コメントなどで私の名前が出ている新聞記事の紙名、日付、タイトルを記した「新聞記事クリッピング」と、国会図書館の雑誌記事検索で拾った拙稿のリスト(「私の論考」)です。
この更新作業をしているなかで、「朝日新聞」の西部版に載ったユニークな労働事件の判決に関する記事が目に止まりました。「名ばかり取締役」にされた労働者が労働組合に加入したことを理由に解雇された事件で、佐賀地裁は、組合加入を正当と認め、会社側に未払い賃金575万円と慰謝料30万円を支払うことを命じました。以下に記事の全文を引用しておきます。
2010/03/27朝日新聞【西部】 朝刊
「名ばかり役員」の解雇、労組加入理由は違法 佐賀地裁判決
会社の経営に関与しない「名ばかり役員」に就任させられた従業員の男性(42)が、労組に加入したことを理由に解雇されたのは不当だと佐賀市のゴルフ場運営会社などを訴えた訴訟の判決が26日、佐賀地裁であった。判決は解雇を無効とし、会社側に未払い賃金575万円と慰謝料30万円の支払いを命じた。
判決によると、ゴルフ場に勤めていた男性は、2007年5月に運営会社が設立された際、承諾なしに取締役に就任させられた。経営責任を問われるのを恐れて翌月、相談先の労働組合に加入すると、08年3月に解雇された。
野尻純夫裁判長は、役員となった後も男性の勤務実態に変化はなく、経営にも関与していなかったことから、役員の実体はなかったと認め、「従業員と違わない立場であり、労組加入を理由とした解雇は違法」と判断した。
一般従業員と同じ仕事をしながら残業代などが支払われない「名ばかり管理職」の問題に詳しい森岡孝二・関西大教授(企業社会論)は「役員の労組加入が争点になった例は聞いたことがないが、名目だけの役員で労働者の権利をあきらめる人は多くいると推測される。そこに司法が判断基準を示した意味は重い」と判決を評価した。