第134回 日本における原発に対する世論

『ワーキング・プア』の著者であるデイビッド K. シプラーさんから、東日本大震災と原発事故の発生直後に、見舞いメールをいただきました。その後、なんどか交信があり、「日本でこれを機に核エネルギーに対する反対が強まると思いますか」という質問を受けました。それに答えて送った返事を日本語にしてここに掲載します。これと同じ内容の下手な英文は前回(第81回)を見てください。

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昨日(4月18日)の朝日新聞は、4月16、17日に実施された世論調査の結果を掲載しています。原発に関しては、以下のように述べています。中央は2007年の朝日の調査の数字です。右側は読売の最近の調査結果です。
   

      朝日     朝日    読売
  16-17/04/2011     2007 1-3/04/2011
増やす       5%     13%    10%
現状程度     51%     53%    46%
減らす     30%     21%    29%
やめる     11%       7%    12%

これを見ると、 41%の人々が原発を減らすか、やめることを求めています。今月初めに行われた読売の調査もほとんど変わりません。

朝日の二つの調査によれば、原発に批判的な人々は、2007年の28%から福島の核危機後の41%に増えています。事件の重大性に比べれば、この変化は小さいように思います。

事件のすぐ後でドイツに滞在していた友人の言うには、テレビニュースに登場する専門家は口をそろえて批判的な解説をしていたそうです。しかし、日本では、ほとんどの専門家は危険よりも、安全について語っていました。彼らのコメントはまるで核エネルギーの平和利用の必要性について語っているように聞こえます。

4月1日に朝日は、前東京大学総長の小宮山宏氏の長いインタビューを載せています。彼は、時間がかかるかもしれないが、原子炉の事故は押さえ込むことができると語り、原発への依存を擁護していました。実を言えば、彼は東電の社外監査役として、およそ1000万円の年収を得ています。残念なことに、朝日のこれまでの見解は、小宮山氏の見解とさほど違いませんでした。朝日は他のマスメディアと同様に、東電から大きな広告料収入をもらってきました。

昨日、国会質問に答えて、菅直人首相は、政府は昨年閣議決定した14基の原発新設を含む、核エネルギー政策を点検すると表明しました。彼は「白紙に戻して」という言葉を使用しています。これは歓迎すべき変化です。にもかかわらず、関西電力社長の八木誠氏は、14日、電気事業連合会(電事連)の会長に就任後、原子力発電は依然として有用なエネルギーであり続けるとして述べています。

これらのことから考えて、日本はこれから20〜30年は原発の増設は止めても、現状維持を続けるものと推察されます。日本がドイツの後を追うにはもっと強い反対意見が必要です。

追伸: 20/04/2011
1)今日の朝日の社説は、核エネルギーへの依存を減らすが、廃止の意図はないことを述べています。
2)16、17日に行われた毎日の世論調査では、過半数の市民(減らすべき41%+全て廃止すべき13%)が原子力発電に批判的です。

 

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