第198回 「リストラ会社No.1」がなぜか「働きやすい会社No.1」に

「日本経済新聞」は、9月29日、2012年の「働きやすい会社」調査の結果を発表しました。 そのランキングトップはパナソニックです。1)人材の採用・育成、2)多様な人材の活用、3)職場環境の整備、4)多様な働き方への配慮、という4項目の総合評価にもとづくもので、パナソニックは3年ぶりの総合首位に返り咲いたと伝えられています。

私はこの記事に目を疑いました。日経のこのランキング発表より2週間前の9月14日、「朝日新聞」は「電機大手のパナソニックが、本社をスリム化するために、30代の若手社員も対象に希望退職を募ることがわかった。約7千人いる大阪府門真市の本社社員のうち、研究開発部門に所属する約1千人を配置転換し、これとは別に、定年退職者と希望退職者を合わせ約1千人を削減する計画だ」と伝えています。

同社のリストラは、本社の研究開発部門にとどまりません。10月1日の「しんぶん赤旗」は、「電機産業の大企業を中心に13万人ともいわれる規模のリストラがすすめられています。そのなかで、退職強要や遠隔地配転が横行。雇用と地域経済を守ろうと全国でリストラに反対するたたかいが広がっています……「パナソニック4万人、NEC1万人、リコー1万人、ソニー1万人、シャープ1万人、半導体大手・ルネサスエレクトロニクス1万4000人」と書いています。
 
昨年4月28の「毎日新聞」には、完全子会社とした三洋電機やパナソニック電工との重複部門を主な対象に、パナソニックが12年度までにグループの従業員を約38万人から最大約1割に当たる約4万人を削減し、韓国など海外の電機大手との競争が激化する中、生き残りを目指すと出ています。リストラは海外従業員を含むとはいえ、今回のリストラ計画には、事務・研究開発・生産管理などの国内本社のスリム化だけでも、数千人規模のリストラが織り込まれて見込まれています。

電機産業で目白押しのリストラ計画の規模では、パナソニックは、NEC、ソニー、シャープを上回って、ランキング断トツのNo.1です。しかし、「人材の採用・育成」という点からは、パナソニックは「働きやすい会社」とはとうてい言えません。30代の若い社員にも希望退職が募集され、40代、50代ともなれば退職勧奨や退職強要もありうると考えられる会社がどうして「働きやすい会社」、それも働きやすい会社ランキング第1位の会社に選ばれるのでしょうか。ほかの会社がよっぽど悪いのか、それともリストラの規模は働きやすさにとってプラス評価をされるのでしょうか。

ちなみに会社の評価はよくマーケット(株式市場)で決まると言われますが、パナソニックの株価は5年前の2007年には2500円台でしたが、いまは500円前後を低迷しています。

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