休暇の在り方を検討する民主党プロジェクトチーム(PT)は、26日、小中学校で毎年10月中旬に5連休(「シルバーウイーク」)を創設する構想を盛り込んだ中間報告案をまとめた、と報じられています。
構想では、年間15日という祝日の総日数は変えず、「ハッピーマンデー」を廃止し、7月第3月曜日の「海の日」、9月第3月曜日の「敬老の日」、10月第2月曜日の「体育の日」の3日分を10月中旬に集め、土、日と続けて5連休とするというものです。
5連休は、子どもと親が一緒に過ごす時間を増やすのが狙いで、これを可能にするために毎年10月にすべての小中学校に休校日を設ける、具体的には、春休みや夏休みを3日分減らして「月火水」と「水木金」の2通りの3連休をつくるという構想です。企業に対しては、小中学生の子どもがいる労働者に有給休暇を取得させることを義務づけるとされています。実施にあたっては全国を4ブロックに分けて、休みを分散取得する方法を提案しています。
これは一見工夫されているようで、開いた口が塞がらないほど滑稽な休暇構想です。以下にその馬鹿さかげんを箇条書きにしてみます。
1) この構想は、小中学校の生徒とその親である雇用労働者に適用されることになっていますが、子どもと一緒に過ごす時間をもっとも必要としているのは就学前の幼い子をもつ親たちです。残業漬けの父親たちの多くは、子どもが起きないうちに勤めに出て、子どもが寝たあとに帰宅するような働き方をしていますが、民主党の休暇のあり方PT諸氏は、そんな現実など知らぬ存ぜずのようです。
2) 構想は、小中学生の子どもがいる労働者に年次有給休暇(年休)を取らせるといいますが、年休をほとんど、あるいはまったく取得できていないパート・アルバイト・派遣などの非正規労働者はどうしろというのでしょうか。また、同じ企業に勤めていても、子どものいる労働者は10月に連休があるが、子どものいない労働者はその間もいつもどおり働けとでもいうのでしょうか。
3) この構想は子どもと親が一緒に過ごす時間を増やすといいながら、そのために必要な長時間残業の規制にはまったく触れていません。また、年休の取得率の引き上げのために急がれる、年間3労働週の年休と2労働週以上の連続休暇を定めたILO第132号条約(有給休暇条約)の批准には、口をつぐんでいます。
4) この構想は、小中学生はに春休みと夏休みの短縮によって、小中学生の親の労働者にはハッピーマンデーの廃止によって、10月に5連休を導入しようという、なんともけちくさい朝三暮四の休日移し替え案です。
5) この構想は2010年に政府の観光立国推進本部が打ち出した、秋にも連休を設け、年2回の5連休を全国5ブロックで順繰りに実施するという案の焼き直し縮小版です。この案でも今回の構想でも、全国で休日を分散することが企業や学校や市民生活にどのような困難をもたらすかは、検討されたのかもしれませんが、結果的には無視されています。ということは、提案者も思いつきの域を超えず、本気で実施する気などないのかもしれません。