第242回 過労死防止基本法の早期制定に向けて大きく動き出しました。

11月19日午後、衆議院第一議員会館で「過労死防止基本法の制定を実現するつどい」が大会議室を埋める234名の参加を得て開催されました。2011年11月18日の「“ストップ過労死” 過労死防止基本法制定実行委員会」のスタートから7回目、その前年の準備集会から8回目の院内集会でした。

この集会までに「全国過労死を考えるの家族の会」と「過労死弁護団全国連絡会議」を中心に、過労死防止基本法(以下、防止法)の制定をめざす100万人署名に取り組み、約52万人の署名を集めることができました。また、全国38の自治体で防止法の制定を求める意見書が採択されています。さらに、本年6月に防止法の制定を求める超党派の議員連盟が始動し、今月19日までに自民、公明、民主、維新、みんな、共産、社民などから122名の議員が加わっています。そのうち48名は自民党議員です。

衆議院の本会議と重なる時間帯でしたが、集会には、40名を超える議員(代理秘書を含む)が出席され、議員立法による今臨時国会での成立に向けて努力する意向をこもごも表明されました。同日に開かれた議連世話人会で事務局長になった自民党の馳浩(はせひろし)衆議院議員は、挨拶に立って12月6日までという残された短い会期のなかで成立させるのは容易ではなく、約束はできないが、今臨時国会での成立に向けて努力したいと言明されました。

法案の基になっているのは、過労死防止基本法制定実行委員会が本年4月に発表した「過労死防止基本法(案)」です。議連世話人会が発足してからは、これを尊重しつつ、議連世話人会が衆議院法制局の事務方と連絡協議を重ねて、骨子案→要綱案→条文案と練られて現在に至っています。実行委員会案と比べると、議連法案の名称には「過労死等防止基本法案」と「等」が入っています。これは過重労働による死亡だけでなく、重篤な疾患を含めるためことを意味しています。

また実行委員会案では内閣府に「過労死防止総合対策会議を置く」となっていましたが、議連案では、厚生労働省に「過労死等防止推進協議会を置く」となっています。これは内閣府への基本法関連機関の集中を避け、過重労働対策を講じてきた厚労省に委ねるほうがよいということです。

現時点では、自民党の党内調整がまだ終わっていません。時間切れで、来年の通常国会に持ち越すという心配もないではありません。しかし、山登りにたとえれば、いまは防止法山という未踏の山の9合目にさしかかって、ようやく頂上が間近に見えてきたと言ってよいでしょう。これを願望に終わらせずに現実にするために、署名や議員要請に最後の奮闘が求められています。

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