財政審:教職員4万人削減…「少子化」着目、歳出見直し案

http://mainichi.jp/select/news/20150512k0000m020093000c.html
毎日新聞 2015年05月11日 22時02分

  
 財務省は11日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)を開き、文教分野や地方などの歳出見直し案を提示した。少子化に伴い、小中学校の教職員を今後10年程度で約4万2000人削減できると指摘したほか、委員からは安倍晋三政権が地方創生の目玉施策として今年度予算に盛り込んだ1兆円の「まち・ひと・しごと創生事業費」の効果を疑問視する声も相次いだ。
 
 歳出の見直し案は、今月末をめどに取りまとめる財政審の建議(報告書)に盛り込んだ上で、安倍首相が議長を務める経済財政諮問会議に、麻生太郎財務相が報告する見通し。教職員の削減案には、文部科学省などから反発が上がるのは確実だ。

 小中学校の教職員数は現在約69万人で、今回提案した削減幅は約6%に相当する。今後の少子化を踏まえれば、今後10年間、学級数に応じて配置されている教職員を約3万7700人減らすことができるとした上で、少人数指導などのため配置されている教職員も約4200人を削減が可能とした。削減によって、人件費削減額は全体で約2300億円(うち国費は約780億円)が見込めるとした。

 国立大の授業料は、各大学が自主判断で決めることができるが、大半が文科省が定めた授業標準額の53万5800円と同額としていると問題提起した。国立大入学者は富裕家庭の子供も多いことから、私立大の授業料(平均86万円)近くに値上げした上で、親が低所得で優秀な学生向けの奨学金制度を充実させるなど、学ぶ意欲を重視した改革を行うべきだとした。

 また、地方財政については、2008年のリーマン・ショックをきっかけにした税収不足で導入された地方自治体向けの「別枠加算」など支援措置は速やかに廃止すべきだと提案。「まち・ひと・しごと創生事業費」については、委員から「ばらまきになる危険性がある」などの声が続出した。人口減に陥っていれば一定額が交付される仕組みを問題視したためで、今後の予算の使われ方を注視していくという。【宮島寛

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