居酒屋チェーン「日本海庄や」で働いていた吹上元康さん(当時24)の急死をめぐり、吹上さんの両親が「月80時間の時間外労働をこなさなければ賃金が減る制度で過労死した」などとして、経営会社の「大庄」(東京、東証1部上場)と平辰(たいら・たつ)社長ら役員4人に計約1億円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。
坂本倫城(みちき)裁判長は平社長らの責任について「全社的な長時間労働を容易に認識できたのに、是正せず放置した」とし、吹上さんの死に対する「重過失が認められる」と判断。大庄と平社長ら4人に計7863万円を支払うよう命じた昨年5月の一審・京都地裁判決を支持し、大庄側の控訴を棄却した。
一審判決によると、吹上さんは2007年4月の入社後、大津市内の店で調理などを担当。同8月、京都市北区の自宅で就寝中に急性心不全で死亡した。一審判決は、時間外労働が月80時間に満たない場合には給与を減額するとした給与体系を同社が採用していたとし、吹上さんはこの制度のもとで過労死したと指摘。過労死をめぐって大手企業トップの賠償責任を初めて認定していた。
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