勤務中の事故賠償金、従業員が会社に請求可能 最高裁が初判断 (2/28)

勤務中の事故賠償金、従業員が会社に請求可能 最高裁が初判断
https://www.sankei.com/affairs/news/200228/afr2002280014-n1.html
産経新聞 2020.2.28 15:29社会裁判

〔写真〕最高裁判所=東京都千代田区(伴龍二撮影)

 勤務中に交通事故を起こして被害者側に賠償した従業員が、勤務先の会社に相応の負担を求めることができるのかどうかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(草野耕一裁判長)は28日、「損害の公平な分担という見地から負担を請求できる」との初判断を示した。その上で、原告側敗訴とした2審大阪高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。4裁判官全員一致の結論。
民法715条は、従業員が仕事で第三者に損害を与えた場合、原則として使用者の会社も賠償責任を負わなければならないと規定。会社が被害者に賠償した後、従業員に相応の負担を求める「求償」は認められている。一方、従業員が賠償した後、会社に負担を求める「逆求償」は明確な規定や判例がなく、学説上も否定的な見解があった。
原告の女性は、運送大手「福山通運」のトラック運転手だった平成22年7月、大阪府吹田市内で勤務中に自転車との死亡事故を起こした。女性は被害者の遺族に約1500万円を賠償。訴訟では、同額の支払いを同社に求めていた。
第2小法廷は判決で「損害の公平な分担という趣旨から、会社は従業員との関係で、損害の全部または一部について負担すべき場合がある」と判示した。
29年9月の1審判決は、会社も相応の責任を負うべきだとして逆求償ができると判断。同社に約840万円の支払いを命じた。これに対し、30年4月の2審大阪高裁判決は、賠償責任を負うのは不法行為をした従業員だとして逆求償を認めなかった。 

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