長時間・不安定化進む CGT(労働総同盟)が批判声明
しんぶん赤旗 【パリ=山田芳進】 所定労働時間が週三十五時間に決められているフランスで、実際には労働者が長時間働かせられ、かつてなかった不安定雇用が増えている実態があきらかになり、労働組合はサルコジ政権のもとでの労働法制の規制緩和の流れの影響だと警戒を強めています。
仏国立統計経済研究所(INSEE)が六日発表した〇七年の労働市場実態調査によると、フルタイムで働く国民の平均労働時間は四十一時間で、二〇〇一年の三十八・三時間から三時間近く長くなりました。
四十一時間は、フルタイムで働く全職種の平均値で、ホワイトカラー労働者では三十八・二時間、工場労働者では三十七・八時間になっています。仕事を持つ国民のうち17・2%がパートタイムで働いており、女性に限っては三割がパートタイマー。さらにパートタイマーの三分の一は、本当はフルタイムで働きたいとしています。
労働契約の形態では、派遣や請負などの不安定雇用が12%で、これは四年前に比べ0・9ポイントの増加。そのうち期間の定めのある契約を交わす労働者は約二百二十万人で失業者数(労働力人口の8%)とほぼ同等になっています。
労働総同盟(CGT)はこの調査結果を受けた声明を発表し、政府・財界が三十五時間制緩和の理由とした、フランス人は働かないなどとする議論は成り立たないと批判。また、サルコジ大統領が進める「より稼ぐためにより働く」とのスローガンを念頭に、不安定雇用の労働者、パートタイマーや失業者など、本当に「より働く」ことを望んでいる人々が、実際にはその願いを妨げられていると批判しました。
フランスでは先月、三十五時間を所定労働時間としつつ、職場ごとに労使の協議で労働時間を定めることができるとする法改正が行われました。また欧州委員会でも六月、欧州連合(EU)内の労働時間の上限四十八時間は維持しながら、労働協約により最大で六十五時間労働を可能にする指令案に合意しています。