製造業の就業者、51年ぶり1000万人割れ

日本経済新聞 2013/2/1

 総務省は1日、2012年12月の製造業の就業者数が前年同月比35万人減って998万人(原数値)となり、51年ぶりに1000万人を下回ったと発表した。労働力人口全体の減少に加えて、企業が生産拠点の海外移転を積極化した影響が大きい。国内では製造業が調整を進めた分の雇用を成長したサービス産業が吸収しており、産業構造は大きく変化している。

 製造業の就業者はピークだった1992年10月の1603万人からほぼ一貫して減少してきた。1000万人を割るのは61年6月以来。就業者全体に占める製造業の割合が最も高かったのは70年代前半の27%超で、これが昨年12月には16%まで落ち込んだ。特に2008年の米リーマン危機以降は世界景気の減速を受けた輸出の冷え込みで就業者の減少が加速した。

 昨年12月の全体の就業者数は前年同月から38万人減って6228万人。建設業の就業者も14万人減の490万人と減少幅が大きかった。昨年から47〜49年生まれの団塊世代が65歳に達して退職者の増加が見込まれており、就業者数は今後も減少が予想されている。

 製造業の就業者が減る背景には労働力人口の減少のほかに、国内市場の縮小も影響している。例えば国内販売台数が低調な自動車は国内生産の増加を見込みづらい。

 アジアは市場拡大が見込めるほか、人件費が安いため、各社は経営資源を現地生産の拡大に投じるほうが効率的と判断している。自動車の国内生産台数はピークだった90年(1348万台)から近年は3割程度減少して推移している。

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