セクハラ:「放置」で提訴へ 「会社が配慮義務に違反」

毎日新聞 2013年06月09日

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券(東京都千代田区)の本店で、てんかんの障害のある嘱託社員の女性(41)が上司によるセクハラ、パワハラで睡眠障害を発症したとして、週内に同社と上司らに慰謝料など1100万円の支払いを求めて東京地裁に提訴する。女性は障害があることを前提に、ストレスや睡眠不足はてんかん発作の要因になるとして会社側に配慮を求めていたと主張。裁判では、これを怠ったとして会社側の安全配慮義務違反を追及する。

 訴状や代理人によると、女性は2009年8月、てんかんの持病があることを明かした上で有期雇用の嘱託社員として入社。11年6月ごろから、本店の同じフロアで働く他部の部長から業務と無関係のメールが届くようになり、休日に14通送られたこともあった。12年2月に部長と飲食した際には「俺の胸に飛び込んでこい」「不倫が一番燃える」などと言われたという。

 女性は同年4月、会社に通報。部長は「セクハラに準じる行為」があったとして厳重注意を受け、異動になったが、それまで約4カ月以上もの間、女性は同じフロアで働き続けストレスを抱えた。また、直属の上司や役員から「法廷闘争になったら会社に来られなくなる。人事は根掘り葉掘り調べるよ」「フィフティーフィフティーなんだよ。けんか両成敗だ」などと威圧され、恐怖から睡眠障害を発症したとしている。

 企業側が雇用した障害者にどのような配慮をすべきか具体的に定めた法律はないが、女性は「職場でも障害に応じた安全への配慮は必要で、ましてセクハラやパワハラの放置は許されない」と憤慨している。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券は「個別の事案にはコメントしかねる。訴状を確認して対応する」とコメントした。【東海林智】

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