日本共産党 小池晃副委員長・政策委員長 賃上げと安定雇用のルールをつくる

SankeiBiz 2013.6.18

 いま日本経済に求められているのは、アベノミクスのような「投機とバブル」だのみの「偽りの景気浮揚」ではなく、実体経済に裏打ちされた本格的な景気回復である。そのためには、賃上げ、雇用改善、中小企業の活性化が不可欠だ。

 労働者の平均給与は、1997年のピーク時から年間約70万円も減っている。デフレ不況の最大の要因は、長期にわたって国民の所得が減り続けている点にある。大企業には260兆円を超える内部留保が「死蔵」されている。この内部留保のわずか1%を使うだけで、8割の大企業は「月1万円」の賃上げが可能になる。中小企業の賃上げに対する国の支援を抜本的に引き上げることも必要だ。今こそ賃上げを起点として、内需主導の好循環をつくるときだと思う。

 アベノミクスの「成長戦略」の柱は、「限定正社員」や「ホワイトカラー・エグゼンプション」など、雇用ルールの規制緩和だ。安倍総理は、「企業が世界一活動しやすい国をつくる」と言っているが、不安定雇用とタダ働きをさらに広げれば、日本企業全体が「ブラック企業」化してしまう。これでは、日本は「働く人が世界一住みにくい国」になるのではないか。働く人が大切にされてこそ、産業の本当の競争力も生まれてくる。労働者派遣法や労働基準法の抜本改正、「解雇規制法」の制定など、雇用を改善するルールをつくるべきだ。

 企業の99%、雇用の7割を支える中小企業が元気になってこそ、本格的な景気回復への道がひらかれる。現在の中小企業政策は、「選択と集中」という名で、多くの中小企業を支援の枠外においている。中小企業全体を視野に入れて振興策を練るべきだ。同時に、大企業・大型店による単価たたきや下請けいじめの規制が急務。これを放置したままでは、いくら振興策をやっても、“穴の開いたバケツ”に水を注ぐようなものだからだ。規制と振興の「あわせ技」で中小企業を応援する。

 日本共産党は、大企業を敵視する立場でも、大企業の利益が少なくなればいいという立場でもない。日本の大企業が、欧米並みに、力に応じて社会的責任を果たす「ルール」をつくること、それを政治の責任で進めていこうという提案だ。

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