政労使会議:年功序列賃金見直しの検討、安倍首相求める

毎日新聞 2014年09月29日

榊原定征経団連会長(左端)や古賀伸明連合会長(左から2人目)らが集まった経済の好循環実現に向けた政労使会議であいさつする安倍晋三首相(右端)=首相官邸で2014年9月29日午後4時15分、徳野仁子撮影(写真省略)

 政府は29日、経済界、労働界の代表と賃上げや労働環境などについて協議する「政労使会議」を首相官邸で開いた。安倍晋三首相は「子育て世代の処遇を改善するためにも、年功序列の賃金体系を見直し、労働生産性に見合った賃金体系に移行することが大切だ」と述べ、年功序列による賃金体系の見直しを検討するよう求めた。

 首相は、「賃上げは過去15年で最高水準で、その動きは力強く広がった。労働生産性の向上を図り、企業収益を拡大させ、それを賃金上昇や雇用拡大につなげていくことが重要だ」と強調。年功序列から、労働生産性を重視した賃金体系への見直しに言及した。

 一方、連合の古賀伸明会長は会議で「デフレ脱却には個人消費の喚起が不可欠だ。中小企業や非正規労働者の底上げがカギで、物価上昇に国民所得が追いついていない」と語り、賃上げを優先させるべきだと主張。首相が言及した賃金体系の見直しについては、会合後、記者団に「今の賃金体系は賃金や処遇に関し、労使で議論して決めたものだ。年功序列だけを見て、解消すべきだと言うのはちょっと乱暴だ」と反論した。

 経団連の榊原定征会長は会議で「足元の経済には変調の兆しがあり、注意が必要だ。当面の課題は企業収益の拡大を図り、来春の期末手当を含め賃上げができる環境づくりをすることだ」と指摘。賃上げの環境を整える必要性を強調した。

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